人には簡単に相談できない悩みとして、EDが挙げられる。だが、EDとはどういった状態を指すのか知らない方は多いのではないか。
EDを疑いながらもどうしたらよいか分からず、1人で不安を感じている方もいるだろう。中には、パートナーとの性行為がうまくいかず、恥ずかしさや情けなさを感じているケースもあり得る。
本記事では、EDを詳しく知りたい方に向けて、EDの定義や治療を行う科、治療法について解説する。また、治療において注意すべき項目にも触れる。
- EDの原因から治療法まで解説
- 治療薬の効果・副作用・価格について
- オンライン診療という選択肢
EDとは?基礎知識とよくある症状
まずは、EDについて基本的な知識を掴んでほしい。この章では、EDに関する基礎を解説する。
EDの定義

ED=勃起機能が低下すること(勃起障害・勃起不全)
定義は以下となる。
- 性行為において
- 勃起が充分でない
- 勃起の継続ができない状態の持続
- 勃起の継続ができない状態の繰り返し
出典:日本性機能学会・日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン 第3版」(2017)
性行為における勃起に対する不満の有無が、ED認識の一助になることもある。
では次に、具体的な症状をいくつか見てみる。以下の通りだ。
- 性交渉で、勃起しない
- 自分にとって、勃起の状態が満足できない
- 勃起時間が短い
- 自分が思っているより長く続かない
- 勃起の状態がよいときもあるが、日によって違う
出典:日本新薬株式会社 EDケアサポート「ED(勃起不全)とは?
出典:大正製薬 製品情報サイト「勃起障害(ED)」
勃起の機能が低下するために起こる症状と考えられる。EDの定義と症状の概観は以上である。理解の参考にしてほしい。
20代でもEDになる?世代による違い
「EDは加齢により起こる」と考えている方は多いのではないか。確かに、年齢とともに体の多くの機能は衰える。勃起の回数や継続時間なども、老化とともに低下していく。
だが、必ずしも加齢だけがEDの原因ではない。調査によると、20代と50代において、EDの割合がさほど変わらないという結果が公表された。さらに、勃起の硬度から見た20代のED有病率は、30代や40代よりも高いと報告されている。
20代であっても、EDにならないわけではない…
EDかも?と思ったら!セルフチェック方法を紹介
若い世代でもEDへの罹患が示唆されている。本章最後では、現在の症状からEDかどうかをチェックする方法を紹介する。「EDかもしれない」と感じている方にとって、EDを詳しく知る手がかりにしてほしい。
なお、最終的なEDの診断は医師が行う。あくまでも参考として見ていただければ幸いだ。
現在から6ヶ月以内の状態をもとに回答してほしい。質問事項は5項目だ。すべてに点数が付いているため、総点数を計算後、最後の分類を参照すればよい。
- 1. 勃起後、それを維持する自信は?
-
回答内容 評価 大いに高い 5 高い 4 普通 3 低い 2 大いに低い 1 - 2. 性的な刺激による勃起の際、挿入可能な硬さは?
-
回答内容 評価 毎回orほぼ毎回 5 度々
(半分を大いに上回る回数)4 時々
(およそ半数)3 たまに
(半分を大いに下回る回数)2 ほとんどor全然ない 1 性的刺激は皆無 0 - 3. 性交時、挿入後の勃起維持は?
-
回答内容 評価 毎回orほぼ毎回 5 度々
(半分を大いに上回る回数)4 時々
(およそ半数)3 たまに
(半分を大いに下回る回数)2 ほとんどor全然ない 1 性行為は皆無 0 - 4. 性交の終了まで、勃起維持への支障は?
-
回答内容 評価 支障はまったくない 5 やや支障となる 4 支障となる 3 大いに支障をきたす 2 極めて支障をきたす 1 性行為は皆無 0 - 5. 性交を試みたときの満足感の頻度は?
-
回答内容 評価 毎回orほぼ毎回 5 度々
(半分を大いに上回る回数)4 時々
(およそ半数)3 たまに
(半分を大いに下回る回数)2 ほとんどor全然ない 1 性行為は皆無 0
上記から計算される総合点数の分類は以下となる。参考までに、一度も性交がなかった場合は0点になるため、分類には当てはまらない。
| 合計 | 分類 |
|---|---|
| 22〜25 | EDではない |
| 17〜21 | 軽症のED |
| 12〜16 | 軽症〜中等度のED |
| 8〜11 | 中等症のED |
| 5〜7 | 重症のED |
合計が21以下の場合、EDの可能性があるため、気になる方は、医師への相談を検討することも選択肢の1つである。
出典:日本性機能学会・日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン 第3版」(2017)
EDはセルフケアで治せる?改善方法について
前章で説明した内容で、EDへの理解は深まったと思われる。ここでは、EDと生活習慣の関係性から治療法まで解説する。
生活習慣とEDの関係

EDに影響を与える要因として、生活習慣が挙げられる。いくつか例を見てみよう。
- 運動不足
- 喫煙
- ストレス
それぞれの影響を紐解く。
運動不足がEDに与える影響とは?
海外の研究で、EDと運動不足の関連が報告されている。日常生活に運動を取り入れることは、ED罹患のリスク軽減につながる可能性がある。
喫煙による影響は?
海外の研究で、喫煙期間が長いとED罹患率が上がるとの報告がある。さらに、喫煙は、血管内皮障害、陰茎への血流障害、交感神経刺激を起こし、勃起に対して影響を与える可能性があると報告されている。
喫煙者にとって、禁煙の検討は、EDのリスク軽減を考える一案
EDは心理的・精神的要因により増えるのか?
勃起とうつにおける日本での研究で、相関を認めたとの報告がある。またストレスは、EDを増加させる可能性があると報告されている。
セルフケアは、EDの改善に役立つだけでなく、健康維持にもつながる習慣
適度な運動や、禁煙、ストレスの解消は、体調を整える上でも大切な要素だ。だが、忙しい毎日を送っている方にとって、セルフケアの継続は難しいかもしれない。
また、生活習慣を見直してもEDがよくならなければ、不安を感じてしまう可能性もある。
セルフケアに限界を感じたら、医療機関の受診を検討してはいかがだろうか。
出典:日本性機能学会・日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン 第3版」(2017)
出典:Esposito K, et al. Effect of lifestyle changes on erectile dysfunction in obese men: a randomized controlled trial. JAMA. 2004;291(24):2978-2984. [PubMed: 16422871]
出典:Ahn SH, et al. Smoking and erectile dysfunction. Int J Impot Res. 1999;11(6):349-353. [PubMed: 10022110]
出典:Cao S, et al. The effect of cigarette smoking on erectile dysfunction: a meta-analysis. Asia Pac J Public Health. 2015;27(5):NP564–NP576. [PubMed: 27872030]
出典:Seidman SN, et al. A review of epidemiological studies of the association between depression and erectile dysfunction. Int J Impot Res. 2000;12(2):67-70. [PubMed: 10671784]
出典:Miner MM, et al. Erectile dysfunction and depression: clinical and physiological interactions. Int J Clin Pract. 2011;65(11):1126-1134. [PubMed: 22145804]
EDの3つの治療法

セルフケアも大切なEDへの対応方法だが、ここでは、医療機関受診後に、医師が治療を妥当であると認めたときの治療について解説する。
ED治療は自由診療となり、医療保険は適応されないので注意
主な治療法は以下の3点だ。
- 内服薬
- 体外衝撃波
- 注射
それぞれ、順に見てみよう。
内服薬によるED治療
まずは、飲み薬による治療だ。陰茎海綿体の血管に作用し血流を促すとされる、PDE5(ホスホジエステラーぜ5)阻害薬が治療薬として挙げられる。ここで、勃起の仕組みに触れよう。
勃起とは、男性の性器内にある陰茎海綿体の血流が増えることで起こる生理現象
その際に「cGMP(環状グアノシン一リン酸)」と呼ばれる物質が関与するが、このcGMPの濃度が低いと、勃起の維持につながらない。PDE5は、cGMPの分解を促し、減らしていく酵素だ。
つまり、分解を邪魔する薬であるPDE5阻害薬の投与は、勃起状態の継続をサポートする可能性がある。
体外衝撃波療法
次に取り上げるのは、体外衝撃波を利用する方法だ。
体の外側から、直接男性の性器に衝撃波を当てると、陰茎海綿体が刺激される。血流がよくなり、新しい血管が作られることで、EDへの効果が期待される治療法である。多少の痛みを伴うかもしれないが、個人によって違いはあるだろう。
注射を用いた治療法
最後に、注射による方法だ。陰茎海綿体に、血管拡張作用を持つ薬剤を注射する。血流が促されて勃起が起こる仕組みで、自分で性行為のときに注射を打つ手段だ。
ここまで、3つのED治療法を解説した。すべて自由診療であり、費用は病院やクリニックによって異なる。詳しい費用は医療機関のサイトを確認してほしい。
ED治療の診察の流れと受診のハードルを下げるコツ
この章では、EDを疑った際の受診先や診療の流れについて解説する。EDの治療を周囲に知られたくない方もいるのではないか。受診のハードルを下げるコツについても触れるため、悩みを持つ方の指標になれば幸いである。
まずED治療は何科を受診すればいい?

まず、ED治療はどの診療科を受診すればよいのかを整理しておこう。
一般的に「泌尿器科」は、男女問わず尿に関するトラブルで受診するケースが多い診療科である。夜尿症などで受診する人もいるが、男性器に関する悩みについても相談可能だ。EDのような症状も対象に含まれるため、まず検討しやすい選択肢といえる。
一方で「内科」についてはどうだろうか。発熱や咳、吐き気といった体調不良時に最初に受診を考えるのが内科であり、血圧の高さや胃の痛みなどの症状でも利用されることが多い。
実際、EDと生活習慣病には関連があるとされている。例えば糖尿病では、罹患者の約35〜90%にEDが見られるという報告がある。さらに、合併症である末梢神経障害と重度のEDとの関係も指摘されている。
加えて、高血圧もEDのリスク要因の一つとされている。そのため、EDだけでなく他に気になる症状がある場合は、内科の受診も視野に入れてよいだろう。
最近ではオンライン診療でEDの相談ができるサービスも増えている!
メンズクリニックやED治療専門の外来、早漏対策などを扱う診療も利用可能だ。
診療科の名称は医療機関によって異なり、「男性機能外来」「男性機能障害外来」「メンズヘルス外来」「ED外来」などさまざまである。自分の症状や通いやすさに合わせて、適した診療科を選ぶことが重要だ。
出典:日本性機能学会・日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン 第3版」(2017)
EDの診察の内容や流れは?

診察科が決まれば、診察に進む。診療の流れや内容は、風邪などで内科を受診するときと大きく変わらない。EDの診療だからといって心配せず、普段通りに医師から診察を受けるとよいだろう。
では、具体的に初診時の診察の流れを説明しよう。
病院やクリニックを訪れ、指定された問診票に必要事項を記載
医師から呼ばれるまで待つ
診察室に入り、医師の質問に答え診察を受ける
場合によっては、血圧測定、血液検査、心電図検査などの検査を受けることがある
現在服用している薬があれば持参して、医師に確認してもらう
治療が妥当であると医師が判断した際、薬の処方となる
薬は、病院内で受け取る院内処方と、院外処方にて調剤薬局で受け取る方法に分かれる
会計を済ませ、終了
薬が院外処方の場合は、調剤薬局に出向き、薬を受け取る
診察の流れは以上だ。なお、自由診療となるため、公的医療保険の適用にはならない。
周囲にED治療を知られたくない場合は?
周囲に治療を知られたくない方にとって、病院やクリニックに出向く方法は好ましくないかもしれない。そのようなとき、オンラインでEDの診察を受ける方法も選択肢となる。
オンライン診療は、自宅などのプライベートな空間で、クリニックに出向くことなく医師の診断を受けられる診療手段の1つである。DMMオンラインクリニックなどは具体的な一例だ。
通院の手間が省け、自分の都合に応じて診察日や診察時間が選択できる。病院に受診する時間がない方にとっても、受診のハードルが下がるといえよう。診察の流れや受診科目、診療手段を知り、適切な治療につなげてほしい。
ED治療薬は食事で効果が変わる?持続時間と副作用について
この章では、ED治療薬の仕組みや薬剤ごとの違い、副作用や服用時の注意点について解説する。
ED治療薬の仕組みや役割には何がある?
ED治療の主な治療薬の項で、勃起の仕組みについて触れている。そこで、勃起の際に「cGMP」と「PDE5」の関係性を説明した。ED治療薬として用いられる主な内服薬は、PDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬と呼ばれる。
PDE5阻害剤は、その名前の通り、PDE5の作用を抑える。その結果、cGMPの量が維持され、陰茎海綿体の平滑筋が緩み、血流量が増え、勃起状態が継続すると考えられる。
EDに用いられる主要な3つの薬剤とその違いとは?

では、PDE5阻害剤の主要薬剤3種類を解説する。薬の特徴を比較する。
| 成分名 | タダラフィル | シルデナフィル | バルデナフィル |
|---|---|---|---|
| 剤形 | 錠剤 | 錠剤 ODフィルム(先発のみ) | 錠剤 |
| 販売規格 | 5mg 10mg 20mg | 25mg 50mg | 5mg 10mg 20mg |
| 用法 | ・性行為の約1時間前に内服 | ・性行為の約1時間前に内服 | ・性行為の約1時間前に内服 |
| 効果発現時間 | 60〜180分 | 30〜60分 | 15〜30分 |
| 持続時間 | およそ30〜36時間 | およそ3〜5時間 | およそ5〜8時間 |
| 食事による影響 | 受けない | 食事とともに服用すると空腹時より効果出現時間が遅れる | 外国人データでは標準的な食事摂取直後の投与による影響は認められなかった |






