ストレスで抜け毛になるのはなぜ?原因とメカニズム・対策を解説

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ストレスによる抜け毛は一時的に回復が見込めることが多いが、AGAや円形脱毛症、甲状腺疾患など別の原因が隠れている場合もある

理由は、抜け毛やボリューム低下はストレスだけでなく複数の要因で起こり、見た目だけでは判断しにくいためである。ただし過度に悲観して放置すると、不安が強まり症状の見極めも遅れやすい。

まずは自分の状態を整理し、ストレス対策とあわせて必要に応じて医療機関への相談を検討すべきだ。

この記事でわかること
  • 今起きている抜け毛がストレスによるものかを判断するポイント
  • ストレスが髪に影響する理由と回復までの目安
  • 自宅で無理なく続けられる、自律神経を整える生活習慣とケア方法

この記事の監修者

杉野 智啓 医師
八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科イサナクリニック 理事長/総院長

略歴
・防衛医科大学医学部医学科 卒業(MD)
・東京工業大学大学院 技術経営学修士課程修了(MOT)
・2025年1月 八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科イサナクリニック 代表理事

資格・所属学会
日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医

所属
八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科イサナクリニック

※記事内で紹介するサービス・商品は、監修医師が特定の提供元を推奨・選定したものではありません。医師監修は、一般的な医学情報の確認を目的としています。

この記事の監修者

杉野 智啓 医師
八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科
イサナクリニック

所属
八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科イサナクリニック 理事長/総院長


資格・所属学会
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医


略歴
・防衛医科大学医学部医学科 卒業(MD)
・東京工業大学大学院 技術経営学修士課程修了(MOT)
・2025年1月 八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科イサナクリニック 代表理事

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目次

ストレスによる抜け毛かを見分けるセルフチェック

最近、抜け毛が増えた気がしても、その原因がストレスなのか、加齢による変化なのか、それとも別の要因なのかは判断しにくい。

そのような場合は、まず現在の状態を客観的に確認することが大切である。抜け毛の原因はひとつとは限らないため、生活状況や体調の変化を整理しながらチェックしていこう。

抜け毛の本数は目安になるが、毛根の見た目だけで原因を断定することはできない。セルフチェックでは、抜け毛が増えた時期、脱毛の分布(円形か全体か)、頭皮の赤み・かゆみの有無を優先して確認したい。判断に迷う場合は皮膚科で相談する。

抜け毛の本数と毛根の状態を確認する

まず確認したいのは、抜け毛の本数である。髪は通常、一定のヘアサイクルに沿って生え変わっており、1日にある程度抜けるのは自然な現象とされる。一般的には、1日50〜100本程度であれば、生理的な範囲に収まることが多い

ただし、以前と比べて明らかな増加がみられる場合は注意が必要である。次のような変化が続いていないか確認しておきたい。

  • シャンプー時の抜け毛が急に増えた
  • ドライヤー後に床へ落ちる髪の量が以前より目立つ
  • 起床時に、枕につく抜け毛が増えた状態が続く
  • 手ぐしを通しただけで髪が複数本抜けることが増えた

このような変化がみられる場合は、一時的な乱れではなく、毛周期や頭皮環境に何らかの影響が出ている可能性がある。

次に、抜けた髪の毛根の状態も確認しておきたい。毛根の見た目だけで原因を断定することはできないが、髪がどの段階で抜けたかを推測する参考にはなる。確認する際は、明るい場所で虫眼鏡やスマートフォンの拡大機能を使うと見やすい。

正常な毛根にみられやすい特徴

・根元が丸くふくらんでいる
・毛根部分が白色または半透明に見える
・毛の太さや長さがある程度しっかりしている

このような髪は、自然なヘアサイクルの中で抜けた可能性が高い。

注意したい毛根の特徴

  • 根元のふくらみが小さい、またははっきりしない
  • 毛根が黒っぽく見える
  • 髪全体が細い、短い
  • 毛根の周囲に白い付着物がみられる

こうした所見がみられる場合は、成長途中で抜けている可能性や、皮脂の過剰分泌、頭皮環境の乱れなどが関係していることがある。

抜け毛の増加とあわせて続いている場合は、生活習慣の見直しに加え、必要に応じて皮膚科や専門外来への相談も検討したい

ストレスによる抜け毛を疑う体調・頭皮のサイン

ストレスによる抜け毛は、髪の変化だけでなく、睡眠や食欲、体調、頭皮環境の乱れとあわせて現れることがある。とくに、強い緊張状態や疲労の蓄積が続くと、自律神経や生活リズムが乱れ、結果として毛周期に影響が及ぶ場合がある。

髪は生命維持に直接関わる組織ではないため、心身への負荷が続くと、毛髪の成長に必要な環境が後回しになりやすい。そのため、抜け毛が増える前後には、睡眠の質の低下や食欲の変化、慢性的な不調などがみられることも少なくない。

以下の項目を参考に、ここ1〜2カ月の状態を振り返ってみてほしい。

ストレスによる抜け毛セルフチェックリスト

カテゴリチェック項目確認のポイント
睡眠□ 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める休息が十分に取れず、自律神経のバランスが乱れている可能性がある
食事□ 食欲が落ちている、または食べすぎることが増えたストレスや生活リズムの乱れにより、食事の量や内容が不安定になっている可能性がある
身体□ 動悸、息切れ、めまいを感じることがある緊張状態や自律神経の乱れにともなって現れることがある
身体□ 肩こりや頭痛が続いている筋緊張や血行不良が続き、頭皮環境にも影響している可能性がある
気分□ 以前よりイライラしやすい、気分の波が大きい心身の負荷が続き、コンディションが不安定になっている可能性がある
頭皮□ 頭皮が硬い、赤みがある、かゆみを感じる血行不良や炎症、皮脂バランスの乱れなどが起きている可能性がある
□ 急に10円玉大の脱毛がみられた円形脱毛症の可能性もあるため、早めの確認が望ましい
□ 全体的に髪のボリュームが減ってきた休止期脱毛など、毛周期の乱れが関係している可能性がある

抜け毛の増加に加えて、こうした全身状態や頭皮の変化が複数みられる場合は、ストレスや生活習慣の乱れが関係している可能性がある

セルフケアで改善しない場合や、脱毛が急に進んだ場合は、皮膚科や専門外来で相談することが重要である。

ストレスによる抜け毛が起こりやすい人の特徴

ストレスによる抜け毛は、強い精神的負担だけでなく、睡眠不足や生活リズムの乱れ、疲労の蓄積などが重なったときにも起こりやすいとされる。とくに、心身が休まりにくい状態が続いている場合は注意が必要である。

次の項目に当てはまるものがないか、確認してほしい。

  • 仕事や家庭のことで気を張る時間が長い
  • 慢性的に睡眠時間が足りていない
  • 寝る直前までスマートフォンやパソコンを見ることが多い
  • 食事の時間が不規則、または栄養バランスが乱れがちである
  • 疲れていても休息が取りにくく、緊張した状態が続いている
  • 最近、強いストレスを感じる出来事があった
  • 抜け毛が増えた時期と、生活環境の変化が重なっている

男性では、次のような変化も確認材料になる。

  • 性欲が落ちている
  • 朝立ち(自然な早朝勃起)が以前より減っている
  • 勃起の硬さや持続時間が以前より低下している

当てはまる項目が多い場合は、自律神経の乱れや血行不良などにより、頭皮や毛髪に影響が出ている可能性がある。まずは、睡眠・食事・休息の状態を見直し、抜け毛の増加時期と生活の変化に関連がないかを確認することが重要である。

男性でも、抜け毛の不安が心理的負担を強めることはある。ただし、性欲低下や朝立ちの変化は、ストレスによる抜け毛のセルフチェック項目としては扱わない。性機能の悩みがある場合は、別途、泌尿器科等で相談したい

なお、抜け毛には、健康な状態でも起こる「自然脱毛」と、何らかの原因によって増える「異常脱毛」がある。現在の抜け毛がどちらに当てはまるかを見極めることが、適切な対策の第一歩となる。

円形脱毛症と休止期脱毛症の違い

ひとくちにストレスによる抜け毛といっても、現れ方は一様ではない。代表的なのは、一部がはっきり抜ける円形脱毛症と、全体的に抜け毛が増える休止期脱毛症である。どちらの可能性があるかを整理することで、今の状態を把握しやすくなる。

「髪全体のボリュームが減ってきた」「分け目が目立つようになった」といった変化は、円形脱毛症とは異なる仕組みで起きている場合がある。それぞれの特徴を確認しておきたい。

一部が急に抜ける円形脱毛症の特徴

円形脱毛症は、円形または楕円形に境界のはっきりした脱毛斑が生じる疾患である。脱毛部分の大きさや数には個人差があり、1か所だけにみられる場合もあれば、複数に広がる場合もある。

主な特徴は、ある日気づくほど急に脱毛が現れることがある点である。痛みやかゆみなどの自覚症状が乏しいこともあり、自分では気づかず、美容院などで指摘されて初めてわかるケースもある。症状の広がり方によって、単発型、多発型、全頭型などに分類される。

原因については、以前はストレスが主な要因と説明されることも多かったが、現在では自己免疫の関与が考えられている脱毛症として知られている。

本来は体を守るはずの免疫反応が、何らかのきっかけで毛包を攻撃してしまうことで発症すると考えられている

そのため、ストレスは円形脱毛症そのものの唯一の原因というより、発症や悪化のきっかけのひとつになりうる要因として捉えるのが適切である。疲労の蓄積や睡眠不足、強い心理的負荷などが重なった時期に症状が出ることもある。

※参考:公益社団法人日本皮膚科学会「脱毛症Q10 円形脱毛症とはどのような病気なのでしょうか?」
※参考:公益社団法人日本皮膚科学会「脱毛症Q11 ストレスは円形脱毛症の原因になりますか?」
※参考:公益社団法人日本皮膚科学会「円形脱毛症診療ガイドライン2024」

全体的に薄くなる「休止期脱毛症」の特徴

円形脱毛症は境界が明瞭な脱毛斑が現れやすく、休止期脱毛症では頭部全体の毛量低下やボリューム不足が目立ちやすい。

一方、休止期脱毛症は、特定の一部だけではなく、頭部全体で髪の密度が下がり、全体のボリュームが減っていく状態である。びまん性に薄くなることから、「びまん性脱毛」と表現されることもある。

休止期脱毛症の主な特徴

円形脱毛症のように、地肌がはっきり見える境界明瞭な脱毛斑は通常みられない。そのため、次のような変化をきっかけに気づくことが多い。

  • 分け目が以前より広く見える
  • 髪を結んだときに束感が細くなった
  • シャンプー時やドライヤー後の抜け毛が増えた
  • 髪全体のハリやボリュームが落ちてきた

このタイプの脱毛は、強いストレスに加え、急激な食事制限、高熱、出産、手術、服薬状況の変化などをきっかけに起こることがある。これらの要因によって毛周期が乱れると、本来は成長を続けるはずの髪が早い段階で休止期へ移行し、一定期間を経てまとまって抜けやすくなる。

通常、髪の大半は成長期にあるが、心身への負荷や体調変化が加わることで、このバランスが崩れる場合がある。その結果、数カ月後に抜け毛の増加として表面化することがある。

シャンプー時の抜け毛が増えた、あるいは髪全体のボリューム低下が気になる場合は、こうした休止期脱毛症の可能性も考えられる。

円形脱毛症と休止期脱毛症の比較表

特徴円形脱毛症休止期脱毛症
抜け方円形または楕円形に一部が抜ける頭部全体で均一に抜け毛が増える
進行の仕方比較的急に気づくことが多い徐々に目立つ場合と、ある時期に急に増える場合がある
主な要因自己免疫の関与が考えられているストレス、急激なダイエット、高熱、出産、手術など
自覚しやすい変化脱毛斑ができる抜け毛の増加、毛量やボリュームの低下
見た目の特徴一部の地肌がはっきり見える分け目の広がりや全体的な薄さが目立つ
相談先の目安皮膚科皮膚科を基本に、必要に応じて関連診療科も検討する

ストレスで抜け毛が増えるメカニズム

「ストレスは髪によくない」と聞くことは多いが、実際に体の中でどのような変化が起きているのかは分かりにくい。抜け毛への不安を整理するうえでは、感覚的に捉えるのではなく、体内で起きている反応を理解することが重要である。

ストレスによる抜け毛は、単に気分の問題として起こるものではない

心身への負荷が続くことで、自律神経や血流、ホルモンバランス、毛周期に変化が生じ、その結果として髪の成長環境が乱れることで起こる。

ここでは、ストレスが抜け毛につながる主な仕組みと、回復までのおおよその経過を整理する。

自律神経の乱れと血流低下の関係

人の身体は、ストレスを受けると自律神経のバランスが崩れやすくなる。自律神経には、活動時に働きやすい交感神経と、休息時に働く副交感神経があり、通常はこの2つが切り替わりながら体の状態を調整している。

しかし、仕事上の緊張や不安、睡眠不足などが続くと、交感神経が優位な状態が長引くことがある。交感神経が優位になると血管は収縮しやすくなり、末梢の血流が低下する。こうした変化が頭皮で起こると、毛根まわりへ十分な酸素や栄養が届きにくくなる。

その結果、髪の成長に関わる毛母細胞や毛包の働きが低下し、髪が細くなる、ハリやコシが失われる、抜け毛が増えるといった変化につながることがある。

流れを整理すると、次のようになる。

  • ストレスが続き、自律神経のバランスが乱れる
  • 交感神経が優位になり、血管が収縮しやすくなる
  • 頭皮の血流が低下する
  • 毛根へ届く酸素や栄養が不足しやすくなる
  • 毛周期が乱れ、抜け毛や毛髪の細りが起こる

ストレスが続くと、交感神経が優位になり、血管収縮や血流低下を介して毛根への栄養供給が低下し、抜け毛につながることがある。

ストレスホルモン「コルチゾール」の影響

慢性的なストレスは、自律神経だけでなくホルモンバランスにも影響を及ぼす。なかでも注目されるのが、ストレス時に分泌が増えやすいコルチゾールである。

コルチゾールは、体がストレスに対応するために必要なホルモンである一方、分泌量が高い状態が続くと、毛髪の成長環境に不利に働くことがある。

慢性的なストレスでは、睡眠の質の低下や生活リズムの乱れ、自律神経・ホルモン分泌の変化が重なり、結果として毛髪の成長環境が乱れやすくなる。コルチゾール単独で抜け毛を説明するのではなく、全身のストレス反応の一部として整理したい。

具体的には、次のような影響が考えられる。

  • 毛髪の成長に関わる働きが抑制されやすくなる
  • 体内の代謝や栄養バランスに影響し、毛髪の維持に必要な環境が乱れやすくなる
  • 覚醒状態が続きやすくなり、睡眠の質が低下する
  • 睡眠不足により、毛髪の成長を支える回復環境が整いにくくなる

とくに睡眠の質の低下は見過ごせない。睡眠が浅い状態や途中で何度も目が覚める状態が続くと、体全体の回復が不十分になり、毛周期の乱れを助長することがある。

ストレスによる抜け毛を考えるうえでは、自律神経、血流、ホルモン、睡眠が互いに影響し合っている点を理解しておくことが重要

※参考:厚生労働省「睡眠対策/健康づくりのための睡眠ガイド2023」

男性ではEDなどの不調がストレスを強めることもある

男性では、抜け毛そのものの不安に加えて、EDの悩みが新たなストレス源となり、心身の緊張を長引かせることがある。ここで重要なのは、EDを「気の持ちよう」として扱わないことである。

EDは血管、神経、内分泌、代謝、薬剤、睡眠障害などが関与する多因子の症状であり、多くは器質性と心因性が混在する。したがって、抜け毛とEDが並行して気になる男性では、ストレスだけでなく、共通の背景として生活習慣病、睡眠時無呼吸症候群、テストステロン低下、薬剤の影響がないかを確認する視点が必要である。

厚生労働省の情報でも、ストレスが続くと交感神経が優位になり、血管収縮や不眠などが起こりやすくなるとされる。EDでも血管機能や神経機能、代謝異常、睡眠障害が関与するため、男性では「抜け毛のストレス」と「EDのストレス」が相互に悪循環をつくることがある。

EDのなる原因・治し方について詳しくはこちら

髪はいつ戻るのか?回復までの目安とヘアサイクル

抜け毛の原因がストレスや生活習慣の乱れにある場合、気になるのは「どのくらいで回復が実感できるのか」という点である。

一般的に、原因となる負荷が軽減し、睡眠や食事などの生活習慣が整い始めてから、変化を実感するまでには数カ月かかることがある。

休止期脱毛では、強いストレスや発熱・手術などの負荷から約3〜4カ月後に抜け毛増加として表面化し、その後、原因が軽減すれば数カ月単位で回復していくことが多い

これは、髪が一定の周期で生え変わる「ヘアサイクル(毛周期)」の影響を受けるためである。

毛周期は、主に次の3段階に分かれる。

成長期(2〜6年)

髪が太く長く成長する時期

退行期(2〜3週間)

髪の成長が止まり、毛根が縮小していく時期

休止期(3〜4カ月)

髪の成長が止まり、抜け落ちるまでの準備をする時期

※参考:公益社団法人日本皮膚科学会「脱毛症Q1 毛が伸びる、または生えかわる仕組みはどのようになっているのでしょうか?」

休止期脱毛症では、心身への負荷や体調変化などの影響によって、本来は成長を続けるはずの髪が早い段階で休止期へ移行することがある。そのため、原因が改善してもすぐに毛量が戻るわけではなく、休止期を経たのちに新しい髪が生え始め、目に見える長さになるまで一定の時間を要する。

このため、対策を始めて間もない時期に大きな変化がみられなくても、直ちに改善していないとは言い切れない。毛周期に沿って回復が進む以上、ある程度の時間差が生じることは自然な経過である。

抜け毛対策では、短期間での変化だけを追うのではなく、数カ月単位で頭皮環境や生活習慣を整えていく視点が重要

女性に多い抜け毛とホルモンバランスの変化

女性の毛髪の状態は、生活習慣や栄養状態だけでなく、女性ホルモンの影響も受けやすい。とくにエストロゲンは、髪の成長期を保つ働きに関与しているとされ、毛髪のハリやコシを維持するうえで重要な要素のひとつである。

しかし、強いストレスや慢性的な疲労が続くと、自律神経やホルモンバランスが乱れやすくなり、結果として毛周期に影響が及ぶことがある。こうした変化が重なることで、髪のボリューム低下や抜け毛の増加につながる場合がある。

また、女性は妊娠・出産、更年期など、ホルモン環境が大きく変化する時期がある。とくに産後は、女性ホルモンの急激な変動に加え、睡眠不足や生活リズムの乱れも重なりやすく、一時的に抜け毛が増えることがある。

このように、女性の抜け毛はストレスだけで単純に説明できるものではなく、ホルモン変化、体調、生活環境など複数の要因が関係していることが多い。

とくに休止期脱毛症では、心身への負荷や日常生活の乱れが背景にあることも少なくないため、頭皮だけでなく全身状態を含めて整えていく視点が大切

※参考:厚生労働省「ストレスとは」(働く女性の心とからだの応援サイト)

今日からできる、自律神経を整える対策

ストレスによる抜け毛の仕組みを理解したうえで、次に重要になるのは、日常生活の中で何を見直すかである。抜け毛対策では、特別なケアに頼る前に、まず睡眠や食事などの基本的な生活習慣を整えることが重要である。

ポイントは、自律神経のバランスを整えて休息しやすい状態をつくること、そして髪の成長に必要な栄養素を安定して補うことである。

【睡眠】髪の成長を支える「睡眠の質」を整える

髪の成長環境を整えるうえで、睡眠は重要な要素のひとつである。とくに入眠後の深い睡眠では、体の修復や回復に関わるホルモンが分泌されやすく、頭皮や毛髪の状態を整えるうえでも大切な時間となる。

そのため、単に睡眠時間を確保するだけでなく、眠りの質を高めることが重要である。今夜から取り入れやすい対策としては、次のようなものがある。

就寝の1〜2時間前を目安に入浴する

38〜40℃程度のぬるめの湯に15分前後つかることで、体が休息モードに切り替わりやすくなる。熱すぎる湯はかえって覚醒を促しやすいため、温度は高すぎないほうがよい。

就寝前はブルーライトを含む明るい光を避けよう

寝る直前までスマートフォンやパソコンを見ていると、脳が休まりにくくなり、寝つきに影響することがある。就寝前は画面を見る時間を減らし、読書や軽いストレッチなどに切り替えるとよい。

寝室の光環境を整える

寝室が明るいと眠りが浅くなることがある。遮光カーテンを使う、照明を落とすなど、できる範囲で暗く静かな環境を整えることが望ましい。

【食事】抜け毛対策で意識したい栄養素

髪は主にケラチンというたんぱく質からできている。そのため、抜け毛対策では、頭皮ケアだけでなく、毛髪の材料となる栄養素を日々の食事から安定して補うことが欠かせない。

とくに、たんぱく質、亜鉛、ビタミンB群は、毛髪の形成や頭皮環境の維持に関わる栄養素として意識したい。過度な食事制限や偏った食生活が続くと、これらが不足しやすくなり、結果として髪の状態にも影響しやすくなる

育毛を意識する際に取り入れたい主な栄養素

栄養素主な働きおすすめの食材取り入れ方のポイント
たんぱく質髪の主成分であるケラチンの材料になる肉、魚、卵、大豆製品(納豆、豆腐など)動物性と植物性を偏りなく取り入れ、毎食一定量を確保する
亜鉛たんぱく質の合成や毛髪の形成を助ける牡蠣、牛赤身肉、豚レバー、ナッツ類不足しやすいため、日常の食事で継続的に補うことが重要である
ビタミンB群頭皮や毛髪の代謝を支える豚肉、レバー、カツオ、マグロなど主食・主菜・副菜をそろえ、偏りの少ない食事を意識する

食事は、特定の栄養素だけを集中的にとればよいわけではない。髪の成長を支えるには、必要な栄養素を無理なく継続して補える食事内容に整えていくことが大切である。

抜け毛対策で意識したい食べ物とコンビニでの選び方

抜け毛対策では、自炊の有無にかかわらず、日々の食事で必要な栄養素を安定して補うことが重要である。忙しい日や食事を簡単に済ませたい日でも、コンビニで選ぶ食品を工夫することで、髪の材料となる栄養素を取り入れやすくなる。

とくに意識したいのは、たんぱく質、亜鉛、ビタミン類である。これらは毛髪の形成や頭皮環境の維持に関わる栄養素であり、偏りなく摂取することが大切である。

コンビニで選びやすい食品の例

栄養素コンビニで選びやすい食品取り入れる目的
たんぱく質サラダチキン、ゆで卵、厚揚げ、納豆髪の主成分であるケラチンの材料を補う
亜鉛素焼きナッツ、レバー系の惣菜、牛肉を使った惣菜毛髪の形成に関わる栄養素を補う
ビタミン類枝豆、海藻サラダ、バナナ、果物類頭皮環境や代謝を整える栄養素を補う

食事を大きく変えようとすると続けにくいので、まずは普段の食事に1品追加する程度から始めると取り入れやすい

たとえば、昼食にゆで卵を加える、間食を菓子類からナッツ類へ変えるといった方法でも、栄養バランスは整えやすくなる。

コンビニを利用する場合も、主食だけで済ませるのではなく、たんぱく質を含む食品と副菜を組み合わせることがポイントである。サラダチキン、ゆで卵、納豆巻き、枝豆、ナッツ類などを組み合わせることで、抜け毛対策を意識した食事に近づけやすい。

重要なのは、特定の食品だけに頼ることではなく、無理のない範囲で継続しやすい食事内容に整えていくことである。

※参考:公益社団法人日本皮膚科学会「脱毛症Q18 抜け毛を防ぐ生活上の注意点はあるでしょうか?」

抜け毛対策で避けたい行動

抜け毛が気になると、少しでも改善したいという思いから、さまざまな対策を急いで取り入れたくなる。しかし、対策の内容によっては頭皮や毛髪に負担をかけ、かえって状態を悪化させることもある。まずは、避けたい行動を確認しておきたい。

洗浄力の強いシャンプーで洗いすぎる

頭皮を清潔に保とうとして、1日に何度もシャンプーをしたり、洗浄力の強い製品で繰り返し洗ったりすると、必要な皮脂まで落としやすくなる。皮脂が不足すると頭皮が乾燥しやすくなり、刺激に敏感になったり、皮脂分泌のバランスが乱れたりすることがある。

その結果、かゆみや赤みなどの頭皮トラブルにつながる場合もあるため、洗いすぎには注意が必要である。

シャンプーは洗いすぎを避け、頭皮が乾燥しすぎたり脂っぽくなりすぎたりしない頻度で、自分に合うシャンプーを使ってほしい。頭皮への負担を抑えるため、洗浄力が穏やかなタイプを選び、指の腹でやさしく洗うことが望ましい。

自己判断で強い頭皮マッサージを行う

血行を意識して頭皮を強く押したり、爪を立てて揉んだり、ブラシで刺激を与えたりする方法は、頭皮や毛根に物理的な負担をかけるおそれがある。とくに抜け毛が増えている時期は、毛髪が不安定になっていることもあり、強い刺激が逆効果になる場合がある。

頭皮ケアを行う場合は、刺激を与えることよりも、頭皮に過度な負担をかけないことを優先したい。

マッサージを行う場合は、指の腹を使い、頭皮を強くこすらず、やさしく動かす程度にとどめるのが基本

抜け毛の状態を何度も確認しすぎる

抜け毛が気になるあまり、鏡で何度も分け目や頭頂部を確認したり、抜けた本数ばかり意識したりすると、不安が強まりやすくなる。こうした状態が続くと、ストレスそのものが軽減しにくくなり、心身が休まりにくくなることもある。

経過を確認すること自体は必要だが、頻繁に気にし続けることは負担になりやすい。抜け毛対策では、頭皮のケアだけでなく、不安を強めすぎない生活の工夫も重要である。

髪の状態を確認する時間や回数を決め、必要以上に見続けないようにする。たとえば、朝の整髪時や入浴後など、確認するタイミングを限定すると負担を減らしやすい。

受診を検討する目安と皮膚科・心療内科の選び方

セルフケアは重要だが、抜け毛が急に増えた場合や、頭皮症状・全身症状を伴う場合は、医療機関で原因を確認することも必要である。抜け毛の背景には、頭皮の炎症、円形脱毛症、ホルモン変化、強いストレス、睡眠障害などが関係していることもあるためである。

ここでは、どのような場合に受診を検討すべきか、また皮膚科と心療内科のどちらに相談すべきかを整理する。

抜け毛の相談は何科に行くべきか

抜け毛の相談先に迷った場合は、頭皮や毛髪の症状が中心か、それとも不眠や不安感など心身の不調が強いかを目安にすると判断しやすい。

一般的には、目に見える頭皮症状がある場合は皮膚科、ストレス関連症状や睡眠障害が目立つ場合は心療内科や精神科が相談先として考えやすい。

皮膚科を検討したいケース

  • 頭皮にかゆみ、赤み、湿疹、フケの増加がある
  • 円形または部分的に明らかな脱毛がある
  • 頭皮のべたつきや毛穴まわりの炎症が気になる
  • 抜け毛の原因が頭皮環境や脱毛症にあるか確認したい

皮膚科では、頭皮の炎症、脂漏性皮膚炎、円形脱毛症など、毛髪や頭皮に直接関わる疾患の有無を確認しやすい。

心療内科・精神科を検討したいケース

  • 寝つきが悪い、途中で目が覚めるなど睡眠の問題が続いている
  • 不安感、緊張、イライラ、気分の落ち込みが強い
  • 仕事や家庭のストレスが大きく、心身の負担が続いている
  • 抜け毛の悩みが強く、日常生活に支障が出ている

このような場合は、ストレス反応や睡眠障害、自律神経の乱れなどが背景にあることもあり、心療内科や精神科での相談が適していることがある。

どちらに行くべきか迷う場合

頭皮症状と心身の不調がどちらもある場合や、自分では原因を切り分けにくい場合は、まずは受診しやすい診療科に相談してよい

必要に応じて、皮膚科から心療内科へ、あるいは心療内科から皮膚科へ案内されることもある。

抜け毛は、頭皮だけの問題ではなく、睡眠、ストレス、ホルモンバランス、栄養状態など複数の要因が重なって起こることがある。そのため、症状が長引く場合は、ひとつの要因に限定せず全身状態も含めて確認していくことが重要である。

次に、受診を先延ばしにしないほうがよいサインについて確認していく。

早めの受診を検討したいサイン

次のような症状がみられる場合は、セルフケアのみで様子を見るのではなく、医療機関への相談を検討したい。抜け毛の背景に、脱毛症や頭皮の炎症、心身の不調が関係している可能性があるためだ。

  • 円形脱毛症が複数みられる、または短期間で広がっている
  • 頭皮に強い赤み、湿疹、フケ、強いかゆみがある
  • 抜け毛に加えて、不眠、食欲低下、気分の落ち込みが2週間以上続いている
  • 抜け毛の多い状態が3カ月以上続き、改善がみられない

こうした症状が続く場合は、原因を確認したうえで適切な対応につなげることが重要

皮膚科・心療内科・専門クリニックの違い

抜け毛の相談先は、症状の中心がどこにあるかで選びやすくなる。頭皮症状が目立つ場合は皮膚科、ストレス関連の不調が強い場合は心療内科や精神科が候補となる。遺伝や加齢による薄毛が疑われ、発毛治療を希望する場合は、薄毛治療を扱う専門クリニックを検討する方法もある。

急な円形脱毛、頭皮の炎症、全身症状を伴う場合は、まず皮膚科で原因を確認したい。AGA・FAGA専門クリニックは、AGA/FAGAが疑われ、発毛治療を希望する場合の選択肢として位置づける。

皮膚科

対象:円形脱毛症、頭皮の赤み、かゆみ、フケ、湿疹など、頭皮や毛髪そのものの症状がある場合

対応の例:頭皮の状態や脱毛症の種類を確認し、炎症や脱毛の状態に応じた外用治療や内服治療が検討されることがある

心療内科・精神科

対象:不眠、動悸、不安感、抑うつ状態などのストレス関連症状が強く、抜け毛との関連が考えられる場合

対応の例:睡眠や不安、気分の落ち込みなどの状態を確認し、カウンセリングや薬物療法などを含めて心身の負担を整える治療が行われることがある

AGA・FAGA専門クリニック

対象:遺伝や加齢による薄毛の可能性もあり、発毛治療を希望する場合

対応の例:マイクロスコープなどを用いた頭皮確認や、薄毛の進行状況に応じた治療提案が行われることがある。なお、治療内容によっては自由診療となる

ストレスによる抜け毛は生活習慣の見直しが基本

ここまで、ストレスによる抜け毛の主な原因と、日常生活で見直したい対策について整理してきた。最後に、要点を簡単に振り返る。

抜け毛対策として今日から取り入れたいこと

項目今日から意識したいこと目的
状態の確認セルフチェックで現在の状態を整理する抜け毛の傾向や体調変化を把握する
睡眠就寝前はスマートフォンの使用を控える睡眠の質を整え、休息しやすい状態をつくる
入浴38〜40℃程度の湯にゆっくりつかる緊張を和らげ、自律神経を整えやすくする
食事納豆、卵、サラダチキンなどを食事に加える毛髪の材料となるたんぱく質を補う
生活リズム朝はカーテンを開けて日光を浴びる体内リズムを整え、生活リズムの安定につなげる
経過の見方数週間ではなく数カ月単位で変化を見る毛周期に合わせて無理なく経過を確認する

ストレスによる抜け毛は、ひとつの原因だけで起こるとは限らず、睡眠不足、食事の偏り、ホルモン変化、心身の負担など、複数の要因が重なって生じることが多い。そのため、頭皮だけに対策を行うのではなく、生活全体を整える視点が重要である。

また、抜け毛の改善はすぐに実感できるとは限らない。とくに休止期脱毛症では、原因が軽減してからも毛周期の影響で変化が現れるまでに時間がかかることがある。短期間で判断せず、数カ月単位で経過を見ることが大切である。

セルフケアを続けても抜け毛が改善しない場合や、円形脱毛、頭皮の炎症、不眠や気分の落ち込みなどを伴う場合は、医療機関で相談することも検討したい。原因を早めに確認することで、適切な対応につなげやすくなる。

ストレスによる抜け毛に関するよくある質問(FAQ)

最後に、ストレスによる抜け毛に関してよくある疑問をQ&A形式で整理する。

ストレスが軽くなれば、髪は自然に戻るのか?

原因がストレスや生活習慣の乱れにある場合は、回復が期待できることが多い。

休止期脱毛症では、原因となる心身の負荷が軽減し、睡眠や食事などの生活習慣が整うことで、毛周期が徐々に正常化していくことがある。その結果、新しい髪が生え始め、時間をかけて毛量が戻っていくことがある。

ただし、変化を実感するまでには一般的に3〜6カ月程度かかることが多い。ストレスが軽減しても、睡眠不足や栄養不足が続いている場合は、回復に時間を要することもあるため、生活習慣の見直しも並行して行うことが重要である。

女性の抜け毛に漢方薬は有効か?

体質や症状によっては用いられることがあるが、自己判断ではなく医師や薬剤師に相談するのが望ましい。

漢方薬は、冷え、疲れやすさ、月経不順、睡眠の質の低下など、全身状態をふまえて選ばれることが多い。そのため、同じ抜け毛の悩みでも、合う処方は人によって異なる。

抜け毛の背景には、ストレスだけでなく、ホルモン変化、栄養状態、頭皮トラブルなどが関係していることもある。漢方を検討する場合は、原因をある程度整理したうえで、医療機関や薬局で相談しながら選ぶことが大切である。

白髪が増えたのもストレスの影響なのか?

関係している可能性はあるが、加齢や体質など他の要因も考慮する必要がある。

白髪は、髪に色をつける細胞の働きが低下することで生じる。ストレスや睡眠不足、血流低下などが重なると、毛髪の成長環境に影響が及び、白髪が目立ちやすくなる可能性はある。

ただし、白髪は加齢や遺伝の影響も受けやすいため、すべてをストレスだけで説明することはできない。急に白髪が増えた、抜け毛も同時に増えているといった場合は、生活習慣を見直しつつ、必要に応じて医療機関へ相談することも検討したい。

抜け毛とEDが同時に気になる場合、原因はストレスだけなのか?

ストレスだけとは限らない。EDは血管、神経、ホルモン、代謝、睡眠、薬剤など多くの因子が関与する症状であり、糖尿病、高血圧、肥満、喫煙、睡眠時無呼吸症候群、テストステロン低下などが背景にあることもある。抜け毛とEDが同時にある場合は、同じ生活習慣・睡眠・代謝要因が影響している可能性を考え、必要に応じて皮膚科と泌尿器科の両方への相談を検討したい。

薄毛治療薬でEDが起こることはあるのか?

ありうる。フィナステリドやデュタステリドでは、性欲低下や勃起機能低下などの副作用が報告されている。頻度は高くない場合でも、もともとED傾向がある男性では治療前に説明を受け、服用後の変化を追うことが重要である。

・参考:日本皮膚科学会:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版
・参考:厚生労働省:ストレスとこころの健康
・参考:e-ヘルスネット(厚生労働省):快眠と生活習慣

この記事を書いた人

八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科イサナクリニックは、2024年4月より、泌尿器科・消化器内科をはじめ、一般内科や健康診断など幅広い診療に取り組んできました。本コラムでは、日々の診療で得た知見をもとに、近年ニーズが高まっている「オンライン診療」について解説しています。なかでもAGA治療のオンライン診療に焦点を当て、最新動向から基本の理解、クリニック選びで押さえるべきポイントまでを、できるだけ噛み砕いてお伝えします。

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