「薄毛が気になるが、紫外線が原因なのだろうか」「UV-A、UV-B、UV-Cの違いは何か」「頭皮を守るための効果的な対策とは」こうした疑問を持つ人は少なくないだろう。
毎年続く猛暑の中、頭皮や髪の毛は紫外線によるダメージを受けている。とくに頭皮や毛髪は、顔の2倍以上の紫外線を浴びるとされており、紫外線が頭髪に与える影響を正しく知り、早めにUV対策を行うことが大切だ。
本記事では、髪や頭皮に影響を与える紫外線3種の特徴と、今すぐ実践できるUV対策10選について解説する。
- 紫外線にはUV-A・UV-B・UV-Cの3種類があり、それぞれ頭皮や毛髪への影響が異なる
- UV-A・UV-Bは皮膚や毛髪に紫外線ダメージを与え、頭皮の日焼けや毛髪のパサつき・切れ毛の一因となる可能性がある。
※紫外線が白髪やAGA型の薄毛の直接原因になるとまでは断定できない。 - 紫外線ダメージは夏場に蓄積し秋から冬にかけて抜け毛として現れるため、早めの対策が重要だ
髪や頭皮に影響を与える紫外線3種
紫外線は目で見ることができないが、波長の長さによって以下の3種類に分類される。それぞれ人体に及ぼす影響が異なるため、違いを正しく理解しておくことが重要だ。
- UV-A(長波長紫外線)
- UV-B(中波長紫外線)
- UV-C(短波長紫外線)
3種類の紫外線の特徴を以下の表にまとめた。
| 種類 | UV-A | UV-B | UV-C |
|---|---|---|---|
| 波長 | 320〜400nm | 280〜320nm | 100〜280nm |
| 別名 | 生活紫外線 | レジャー紫外線 | ― |
| 地上への到達 | 約95% | 強いエネルギーで到達 | オゾン層で吸収されほぼ届かない |
| 主な影響 | シミ・シワ・光老化 | 日焼け・皮膚がん | 通常は考慮不要 |
以下でそれぞれの特徴を詳しく解説する。
UV-A
UV-Aは、シミやシワの原因につながる紫外線で「生活紫外線」とも呼ばれている。320〜400ナノメートルの長い波長を持ち、地上に届く紫外線の約95%を占めるとされている。
UV-Aは皮膚の深くまで入り込み、活性酸素などを介して細胞やタンパク質に酸化的損傷を与える可能性がある。加えて、皮膚の老化を早める危険性も指摘されている。
短時間であれば影響は比較的小さいが、長時間浴びた場合は光老化などの健康影響が懸念されるが、UV-AがAGA型の薄毛の主原因になるとまでは断定できない。
※参考:環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」(2020年3月改訂版)
※参考:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「Q5 光老化は普通の老化とどう違うのですか?」
UV-B
UV-Bは「レジャー紫外線」と呼ばれ、主に屋外での日焼けの原因となる紫外線だ。UV-Aよりも短い280〜320ナノメートルの波長を持っている。
地上に届く紫外線の中でもっともエネルギーが強く、表皮細胞やDNAを直接損傷させる。以下の症状はUV-Bが主な要因と考えられている。
- 皮膚がん
- シワ
- シミ
- たるみ
※参考:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「Q7 紫外線は皮膚がんの原因になりますか?」
UV-C
UV-Cは、UV-AやUV-Bとは性質が異なる紫外線だ。その波長は100〜280ナノメートルと短く、地球を取り巻くオゾン層によって吸収されるため、通常は地上に届くことはない。
殺菌灯など人工的なUV-Cに直接曝露される場面では皮膚や眼への障害に注意が必要だが、通常の屋外環境でUV-Cによる頭皮ダメージを想定する必要性は低い。
UV-AとUV-Bが髪や頭皮に与えるダメージ
地上に届くUV-AとUV-Bは、頭皮や毛髪にさまざまなダメージを与える。ここではその具体的な影響について解説する。
UV-Aが白髪に関与する可能性は断定できない
UV-Aは皮膚の深くまで届き、頭皮や毛髪に酸化ストレスを与える可能性がある。一方で、白髪には毛包内のメラノサイトによるメラニン産生・輸送、加齢、遺伝など複数の要因が関与する。
紫外線が毛髪の退色やダメージに関与する可能性はあるが、UV-Aが白髪やAGA型の薄毛を直接増やすとまでは断定できない。
※参考:J-STAGE 日本香粧品学会誌「毛のメラニン科学と白髪化」(青木仁美)
※参考:東北大学 大学院生命科学研究科「加齢に伴う白髪化の新たなメカニズムを解明 〜メラニン色素の輸送異常が関与〜」
※参考:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「Q5 光老化は普通の老化とどう違うのですか?」
UV-Bの浴びすぎが頭皮の炎症につながる
UV-Bを過度に浴びると、頭皮に日焼けによる赤み、痛み、乾燥、かゆみなどが生じることがある。
強い炎症や皮膚トラブルがある場合には一時的に抜け毛が増えたように感じることもあるが、皮脂の過剰分泌だけで毛髪の成長が阻害される、またはAGA型の薄毛が進行するとまでは断定できない。
※参考:環境省「紫外線による人の健康への影響」(参考資料1)
※参考:環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」(2020年3月改訂版)
UV-AとUV-Bはパサつき・切れ毛の原因に
UV-AとUV-Bの影響は、髪を保護するキューティクルにも及ぶ。キューティクルとは、髪の毛の表面に何層にも重なるうろこ状の構造体だ。紫外線を受けることでキューティクルが破壊され、内部に空洞が生じる。
紫外線は毛髪の主要成分であるタンパク質「シスチン」にも負荷を与える。シスチンが紫外線により攻撃されると、キューティクルがはがれ、パサつきや切れ毛の原因となる。毛髪がパサついている人は、日常的に強い紫外線にさらされている可能性がある。
こうした症状は紫外線を浴びるほど大きくなっていく。最終的にはキューティクルが剥離し、髪の輝きが失われてしまうのである。
※参考:J-STAGE 日本化粧品技術者会誌「毛髪の紫外線ダメージ ─評価指標とダメージケア─」
※参考:花王ヘアケアサイト「太陽光・紫外線の影響」
※参考:花王ニュースルーム「頭髪表層に特異的に発生するうねりのメカニズムを解明 予防には紫外線防御が有効であることも発見」(2023年1月17日)
紫外線による抜け毛は秋から冬にかけて進行する
紫外線対策は頭皮の日焼けや毛髪ダメージの予防に役立つ可能性がある。秋以降に抜け毛が増える場合でも、原因は紫外線に限らないため、症状が続く場合は医療機関で相談する。
夏場の紫外線は頭皮の日焼けや毛髪ダメージの一因となりうる。ただし、秋以降の抜け毛を紫外線だけで説明することはできず、AGA、休止期脱毛、円形脱毛症、頭皮疾患、甲状腺疾患、貧血、薬剤性脱毛などの鑑別が必要になる場合がある。
夏場に適切な紫外線対策を行っておけば、秋以降の薄毛や抜け毛を予防できる可能性がある。そのため、紫外線の強い時期にこそ対策を徹底することが重要だ。
薄毛と季節の関係性について、さらに詳しくはこれから解説していく。
今すぐ実践できるUV対策10選
頭皮や毛髪を紫外線から守るために、日常生活で取り入れられるUV対策を10項目にまとめた。いずれも手軽に始められるものばかりなので、参考にしてほしい。
- 10時から14時までの外出を控える
- UVスプレーを使う
- 朝シャンをしない
- 髪の分け目を変える
- 日傘や帽子を使う
- 汗をこまめに拭く
- 育毛剤を使う
- ビタミンCを摂り入れる
- 日陰で小休憩する
- プールの後は塩素を洗い流す
それぞれのポイントについて説明する。
①10時から14時までの外出を控える
夏から秋にかけての日中10時から14時までの外出は、なるべく避けることが望ましい。この時間帯に、1日の紫外線量の大半が地表に降り注ぐとされている。
この時間帯の外出は頭皮や毛髪に大きなダメージを与えることになる。健康な毛髪を維持するためには、紫外線の強い時間の外出を避けて行動するとよいだろう。
※参考:気象庁「紫外線に関するデータ」
②UVスプレーを使う
汎用性の高いUVスプレーは、頭皮の紫外線対策として取り入れやすいアイテムだ。髪や頭皮にも使えるタイプを選ぶとよいだろう。日焼け止めクリームと違い、べたつきがない点も利点である。
UVスプレーを使用する際には、以下の点に注意してほしい。
- 目と口を閉じて使用する
- 毛髪から15cm以上離して使用する
- 一か所に3秒以上つけない
- 生え際にもスプレーをかける
③朝シャンをしない
UV対策では、毎日のシャンプーのタイミングを見直すことも大切だ。とくに朝シャンや外出前シャンプーの習慣には注意が必要である。
頭皮にはほこりや雑菌から守るための皮脂が分泌されている。夜間に出た皮脂は、日中の紫外線や外部刺激から頭皮を守るバリアの役割を果たす。しかし、朝にシャンプーをすると、この保護膜となる皮脂が洗い流され、頭皮は無防備な状態になる。
④髪の分け目を変える
髪の分け目に変化をつけることで、頭皮へのUVの集中照射を防ぐことができる。分け目が常に同じだと、その部分に紫外線が集中して照射されることになる。
分け目の頭皮は日差しが当たりやすく、日焼けしやすい部位である。帽子や日傘、頭皮に使用できる日焼け止めなどで保護し、必要に応じて分け目を変えるとよい。
※参考:環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」(2020年3月改訂版)
⑤日傘や帽子を使う
日傘や帽子は、手軽にできる紫外線予防の一つだ。薄毛対策だけではなく皮膚がん対策としても、これらのアイテムを活用するケースが増えている。近年は男性の間でも日傘を利用する人が増加傾向にある。
熱中症対策にもなるため、外出時には忘れずに携帯することが望ましい。
⑥汗をこまめに拭く
頭皮から出る汗をきちんと拭きとることも、紫外線対策の一つだ。頭皮には「黄色ブドウ球菌」「アクネ菌」などの常在菌が存在する。汗をそのまま放置すると、頭皮環境が不衛生になり常在菌が繁殖しやすくなる。
日焼けにより頭皮が炎症を起こし、そこから雑菌が侵入するケースもある。汗をかいたらそのまま放置せず、タオルでこまめに拭きとることが大切だ。
薄毛と常在菌の関係について、さらに詳しくは下記の記事で解説している。
※参考:J-STAGE 日本香粧品学会誌 Vol.46 No.2「第46回教育セミナー:皮膚や体の常在菌叢が果たす役割」(2022)
※参考:J-STAGE オレオサイエンス Vol.23 No.11「皮膚常在菌叢の制御を基盤とするスキンケア・皮膚疾患治療」(2023)
⑦育毛剤を使う
日焼け後に頭皮の乾燥やつっぱりがある場合は、頭皮に使用できる保湿剤などで刺激を避けながらケアする。
⑧ビタミンCを摂り入れる
野菜や果物に多く含まれるビタミンCは、シワやシミの対策に有効とされている。メラニン色素の生成を抑制する働きがあるとも考えられている。
紫外線を多く浴びた日には、食事から積極的にビタミンCを摂取するとよいだろう。レモン、ピーマン、ジャガイモ、ブロッコリーなどがビタミンCを豊富に含む食品だ。
薄毛と食事の関係について、さらに詳しくは下記の記事で解説している。
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
※参考:J-STAGE ビタミン Vol.93 No.8「紫外線の皮膚障害に対するビタミンCの前塗布」
⑨日陰で小休憩する
夏場の日差しが強い時期は、熱中症対策も兼ねて日陰で小休憩をとることが望ましい。日傘や帽子をかぶっていても、UV-Aなどの紫外線を完全に遮断することはできない。
日中の外出が多いビジネスパーソンなどは、日陰があればこまめに休憩をとるよう心がけてほしい。
⑩プールの後は塩素を洗い流す
プールに含まれる塩素は雑菌を消毒する効果がある一方で、頭皮環境を悪化させる危険性もある。プールから出た後に塩素を洗い流さないと、頭皮への負担が蓄積し、薄毛のリスクが高まる可能性がある。
プールの後はシャワーで塩素をしっかり洗い流すことが大切だ。
UV対策でも薄毛が改善しない場合は医療機関へ
紫外線は顔や体にとっても有害なものだ。秋口に少しでも抜け毛を抑えるためにも、早めの紫外線対策が必要である。
とはいえ、UV対策を行っても薄毛や抜け毛が思うように改善されないケースもある。その場合、AGA(男性型脱毛症)が進行している可能性も考えられるため、早めに医師へ相談してほしい。AGAによる薄毛や抜け毛の改善には、医師の管理下でのAGA治療が有効とされているからだ。
本記事では、紫外線の種類と頭皮・毛髪への影響、そして日常で実践できるUV対策10選について情報を整理した。紫外線対策は薄毛予防の第一歩であるが、それでも改善が見られない場合は、医師に相談するとよいだろう。
※2024年5月〜2025年7月の間で発毛ライトプランの服用を継続した患者へのアンケート調査(回答数232)









