【医師監修】AGA治療薬の副作用は?初期脱毛や勃起不全について薬別に解説

この記事のポイント
  • AGA治療薬の副作用は薬剤ごとに症状や頻度が異なる
  • 初期脱毛は副作用と誤解されやすい
  • 肝機能障害は内服薬全般のリスクであり、定期的な血液検査が望ましい
  • 不調があれば自己判断で中断せず、医師に相談するのがおすすめ

AGA治療薬の副作用は、フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルといった有効成分ごとに発現する症状や頻度が異なる。すべての患者に強く出るわけではなく、症状の出方には個人差があると考えられている。必要以上に不安を感じないでほしい。

AGA治療で見られる「初期脱毛」は、治療の副作用ではなく、発毛サイクルが整う過程で起こる一時的な変化とされている。

知らないままだと異常と受け取りやすいため、あらかじめ理解しておくことが大切である。

さらに、EDなどの副作用を心配する声もあるが、実際の発生率は高くなく、症状の出方には個人差がある。体調に違和感が出た場合も、自己判断で治療をやめるのではなく、まずは医師に相談し、薬の変更や継続の可否を含めて適切に判断してもらうべきである。

AGA治療薬の比較
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フィナステリド進行抑制(守り)
デュタステリド進行抑制(守り)
ミノキシジル内服発毛促進(攻め)
ミノキシジル外用発毛促進(攻め)
基本情報
効果男性ホルモンの生成を抑制し
AGA進行を防ぐ
男性ホルモンの生成を抑制し
AGA進行を防ぐ
血管拡張作用による
血行促進
血管拡張作用による
血行促進
副作用リビドー減退(性欲減退)、勃起機能不全、射精障害、精液量減少リビドー減退(性欲減退)、勃起不全、乳房障害、蕁麻疹、浮動性めまい、射精障害、腹部不快感、倦怠感多毛症、心血管への影響、むくみ、体重増加かゆみ、発疹、かぶれ、めまい
相場/月5,300円前後7,200円前後7,400円前後11,000円前後
承認2005年承認
日本初のAGA治療内服薬
2015年承認
2番目に承認された内服薬
未承認1999年承認
分類内服薬内服薬内服薬外用薬
対象の進行度
初期〜中期
中期
中期以降
早く生やしたい方
中期以降
早く生やしたい方
詳細比較
メリット
  • 国内承認済みで安心感が高い
  • 4種の中で最も費用が安い
  • 第一選択薬として実績豊富
  • フィナステリドより広い酵素を阻害
  • 抑制効果がより強力
  • 国内承認済みで安心
  • 発毛効果が最も高いとされる
  • 飲むだけで塗る手間なし
  • 頭皮全体に効果が期待
  • 国内承認済み・市販購入も可
  • 患部直接塗布で副作用が軽め
  • 内服と併用しやすい
デメリット
  • × 発毛効果は限定的(現状維持が主)
  • × フィナステリドより費用が高い
  • × 副作用リスクがやや高め
  • × 国内未承認(自己責任での処方)
  • × 心臓への負担・むくみ等のリスク
  • × 4種の中で最も費用が高い
  • × 毎日塗る手間がかかる
おすすめ

初期段階で進行を食い止めたい方

コスパ重視の方

フィナステリドで効果が薄かった方

しっかり抑えたい方

発毛効果を最優先したい方

塗り薬が面倒に感じる方

承認薬で発毛したい方

内服に抵抗がある方

フィナステリド進行抑制(守り)
効果
男性ホルモンの生成を抑制しAGA進行を防ぐ
副作用
リビドー減退(性欲減退)、勃起機能不全、射精障害、精液量減少
相場/月
5,300円前後
承認
2005年承認
日本初のAGA治療内服薬
分類
内服薬
進行度
初期〜中期
タップで詳細 ▶
フィナステリド
メリット
  • 国内承認済みで安心感が高い
  • 4種の中で最も費用が安い
  • 第一選択薬として実績豊富
デメリット
  • × 発毛効果は限定的(現状維持が主)
おすすめ

初期段階で進行を食い止めたい方

コスパ重視の方

タップで戻る ▶
デュタステリド進行抑制(守り)
効果
男性ホルモンの生成を抑制しAGA進行を防ぐ
副作用
リビドー減退(性欲減退)、勃起不全、乳房障害、蕁麻疹、浮動性めまい、射精障害、腹部不快感、倦怠感
相場/月
7,200円前後
承認
2015年承認
2番目に承認された内服薬
分類
内服薬
進行度
中期
タップで詳細 ▶
デュタステリド
メリット
  • フィナステリドより広い酵素を阻害
  • 抑制効果がより強力
  • 国内承認済みで安心
デメリット
  • × フィナステリドより費用が高い
  • × 副作用リスクがやや高め
おすすめ

フィナステリドで効果が薄かった方

しっかり抑えたい方

タップで戻る ▶
ミノキシジル内服発毛促進(攻め)
効果
血管拡張作用による血行促進
副作用
多毛症、心血管への影響、むくみ、体重増加
相場/月
7,400円前後
承認
未承認
分類
内服薬
進行度
中期以降
早く生やしたい方
タップで詳細 ▶
ミノキシジル内服
メリット
  • 発毛効果が最も高いとされる
  • 飲むだけで塗る手間なし
  • 頭皮全体に効果が期待
デメリット
  • × 国内未承認(自己責任での処方)
  • × 心臓への負担・むくみ等のリスク
おすすめ

発毛効果を最優先したい方

塗り薬が面倒に感じる方

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ミノキシジル外用発毛促進(攻め)
効果
血管拡張作用による血行促進
副作用
かゆみ、発疹、かぶれ、めまい
相場/月
11,000円前後
承認
1999年承認
分類
外用薬
進行度
中期以降
早く生やしたい方
タップで詳細 ▶
ミノキシジル外用
メリット
  • 国内承認済み・市販購入も可
  • 患部直接塗布で副作用が軽め
  • 内服と併用しやすい
デメリット
  • × 4種の中で最も費用が高い
  • × 毎日塗る手間がかかる
おすすめ

承認薬で発毛したい方

内服に抵抗がある方

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※ 副作用の出方には個人差があります。

※ 最終的な処方は医師の判断の元で行われます。

この記事の監修者

杉野 智啓 医師
八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科イサナクリニック 理事長/総院長

略歴
・防衛医科大学医学部医学科 卒業(MD)
・東京工業大学大学院 技術経営学修士課程修了(MOT)
・2025年1月 八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科イサナクリニック 代表理事

資格・所属学会
日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医

所属
八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科イサナクリニック

※記事内で紹介するサービス・商品は、監修医師が特定の提供元を推奨・選定したものではありません。医師監修は、一般的な医学情報の確認を目的としています。

この記事の監修者

杉野 智啓 医師
八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科
イサナクリニック

所属
八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科イサナクリニック 理事長/総院長


資格・所属学会
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医


略歴
・防衛医科大学医学部医学科 卒業(MD)
・東京工業大学大学院 技術経営学修士課程修了(MOT)
・2025年1月 八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科イサナクリニック 代表理事

※記事内で紹介するサービス・商品は、監修医師が特定の提供元を推奨・選定したものではありません。医師監修は、一般的な医学情報の確認を目的としています。

目次

AGA治療薬の副作用一覧

AGA治療薬として用いられる主な薬剤には、フィナステリド(プロペシア)、デュタステリド(ザガーロ)、ミノキシジル外用薬の3種類がある。それぞれ作用機序が異なり、発現しうる副作用の症状も薬剤ごとに異なる。

フィナステリドおよびデュタステリドは「5α還元酵素阻害薬」に分類される内服薬で、男性ホルモンであるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制することでAGAの進行を抑える。一方、ミノキシジルは血管拡張作用により毛包周辺の血流を改善する成分であり、外用薬として用いられる。

薬剤ごとの主な副作用は次のとおりとされている。

フィナステリド(プロペシア)
・分類:内服薬(5α還元酵素阻害薬)
・主な副作用:リビドー減退(性欲減退)、勃起機能不全、射精障害、精液量減少、肝機能障害
・注意点:女性・小児は接触禁忌。PSA検査値に影響あり

デュタステリド(ザガーロ)
・分類:内服薬(5α還元酵素阻害薬)
・主な副作用:リビドー減退、勃起不全、乳房障害、蕁麻疹、浮動性めまい、射精障害、腹部不快感、倦怠感
・注意点:女性・小児は接触禁忌。PSA検査値に影響あり

ミノキシジル外用薬
・分類:外用薬(血管拡張薬)
・主な副作用:頭皮のかゆみ・発疹・かぶれ・接触性皮膚炎、頭痛、動悸、めまい
・注意点:心臓・腎臓に持病がある場合は要相談

ミノキシジル内服薬(国内未承認)
・分類:内服薬(降圧薬)
・主な副作用:多毛症、心血管への影響、むくみ、体重増加
・注意点:AGA治療目的では国内未承認。日本皮膚科学会ガイドラインで推奨度D

AGA治療で起こりやすい副作用とは?

AGA治療薬で起こりやすい副作用には、性機能障害、肝機能障害、皮膚症状、循環器症状、多毛症などがある。それぞれの副作用がどの薬剤で発現しやすいのかを症状ごとに整理しておくことは、治療を検討する上で重要な判断材料となる。

  • 性機能障害:性欲減退・勃起不全
  • 肝機能障害
  • 皮膚症状:かゆみ・発疹・かぶれ
  • 動悸・めまい等
  • 多毛症

どのような副作用が起こる可能性があるのかを理解しておくことは、治療を検討していく上での重要なポイントとなるだろう。それぞれの副作用の具体的な症状や、どの薬で起こりやすいのかといった情報を解説していく。

(※服用する薬の種類や用量によって、現れる症状や頻度は異なり、体質などの個人差も影響するものと考えられています。個別具体的なリスクや服用可否の判断は、受診時に医師と相談してください。)

性欲減退・勃起不全などの性機能低下

フィナステリドやデュタステリドといった「5α還元酵素阻害薬」の服用において注意したいのは、性機能に関する副作用だ。主な症状としては、性欲の減退(リビドー減退)、勃起不全(ED)、射精障害、精液量の減少などが挙げられる。

薬によって男性ホルモンのバランスに影響が出ることが理由だと考えられている。DHTは男性の性機能や生殖器の維持にも関わるホルモンであり、5α還元酵素阻害薬によって体内のDHT濃度が低下することで、性機能関連の症状が発現する可能性があるとされている。生活面に支障が出るようであれば、医師に相談して継続の可否や症状改善に向けて検討していこう。

注目ポイント
  • 具体的な症状:性欲の減退、勃起不全、射精障害、精液量の減少
  • 対象となる薬:フィナステリド(プロペシア)、デュタステリド(ザガーロ)などの5α還元酵素阻害薬
  • 受診の目安:日常生活やパートナーとの関係に支障を感じるようになった時

肝機能障害

内服薬を継続的に摂取することで、肝臓に過度な負担がかかり肝機能障害を起こすリスクがある。フィナステリド(プロペシア)、デュタステリド(ザガーロ)のいずれの内服薬でも、長期的な服用に伴う肝機能障害の可能性が指摘されている。

これはAGA治療に限った話ではなく、どのような薬であっても考えておかなければならない副作用だ。

肝機能障害は、初期段階では自覚症状がほとんどなく、ある程度進行してから食欲不振や黄疸といった症状が出る。具体的な症状としては、倦怠感、食欲不振、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、尿の色が濃くなる、吐き気などが挙げられる。これらの症状は肝機能障害が進行してから現れるため、初期段階での発見には定期的な血液検査が欠かせないとされている。

早い段階で変化に気づくためには、定期的な血液検査が有効だ。肝機能数値(AST、ALT、γ-GTP)を見ることで、自覚症状がなくても肝臓の機能を数値で把握することができるためだ。AGA治療薬の服用中は、3〜6ヶ月に1回程度の血液検査を行うことが望ましい。

注目ポイント
  • 具体的な症状:倦怠感、食欲不振、黄疸、尿の色が濃くなる
  • 対象となる薬:フィナステリド(プロペシア)、デュタステリド(ザガーロ)など内服薬全般
  • 受診の目安:早期発見のために定期的な血液検査を

皮膚症状:かゆみ・発疹・かぶれ

ミノキシジルローションや、カルプロニウム塩化物外用液といった頭皮に直接塗布するタイプの治療薬によって、皮膚トラブルが起こることがある。具体的には、かゆみや赤み・発疹・かぶれといった接触性皮膚炎が主で、成分によるアレルギー反応を併発するケースもある。ミノキシジル外用薬の臨床データでは、そう痒感、発疹、頭部粃糠疹、接触性皮膚炎、紅斑、刺激感などの皮膚症状が報告されている。

我慢できるからといって放置するのではなく、症状が出た場合には医師の診察を受けて指示を仰ぐことが大切だ。

注目ポイント
  • 具体的な症状:かゆみ・赤み・発疹・かぶれ
  • 対象となる薬:ミノキシジル外用薬など外用薬全般
  • 受診の目安:気になる症状が出たら

動悸・めまい等

ミノキシジルを服用している時には、心臓や血管といった循環器系の症状に注意が必要だ。元々ミノキシジルは、高血圧症の治療薬として開発されたもので、血管を広げて血流を良くする作用がある。これにより、動悸・息切れ・めまい・立ちくらみといった副作用が出ることがある。

心臓に負担がかかり続けることで、胸が締め付けられるような違和感や痛みへとつながる可能性もあるため、たとえ軽い症状でも気になることがあれば早めに医師に相談してほしい。ミノキシジルは外用薬であっても、毛穴や毛細血管を通じて成分が体内に吸収される可能性があるため、循環器症状が発現するケースが報告されている。

注目ポイント
  • 具体的な症状:動悸、息切れ、めまい、立ちくらみ、胸部圧迫感、胸痛
  • 対象となる薬:ミノキシジル(内服薬、外用薬)
  • 受診の目安:気になる症状が出たら早めに相談

多毛症

多毛症(たもうしょう)とは、全身の体毛が以前よりも濃くなったり太くなったりする症状を指す。

ミノキシジル内服薬を服用した際に見られる症状で、腕や足の毛が濃くなるだけでなく、眉毛やまつ毛・指の毛・全身の産毛が目立つようになることもある。ミノキシジル内服薬は血管拡張作用が全身に及ぶため、頭皮以外の部位にも発毛作用が現れると考えられている。薬が効いている証拠だという意見もあるが、見た目の変化にストレスを感じる人も少なくない。

多毛症そのもので健康被害が出るケースは少ないが、精神的な負担が大きい場合には薬の継続可否を検討していく必要があるだろう。

注目ポイント
  • 具体的な症状:髭や眉毛・腕・足の毛など全身の体毛が過度に濃くなる
  • 対象となる薬:ミノキシジル内服薬
  • 受診の目安:精神的な負担が大きい場合

副作用が怖い人は育毛剤をチェック

AGAの育毛剤について詳しくはこちら

AGA治療の初期脱毛は副作用?よくある誤解とは

AGA治療を開始して数日経過すると「治療開始前よりもかえって抜け毛が増えたように感じる」という声が聞かれる。これは一般的に「初期脱毛」と呼ばれる症状で、治療を始めたことで症状が進行してしまった…とそこで治療を断念する人も少なくない。

いざ自分に初期脱毛と思われる症状が出た時に正しい判断ができるよう、正しい知識を身につけておこう。

初期脱毛とは

「初期脱毛」とは、AGA治療薬の作用によって一時的に抜け毛が増えてしまう症状のこと

副作用と誤解されやすいが、薬理作用に伴う一時的な反応と考えられている。フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルといったAGA治療薬の服用開始後に発現する症状であり、薬剤そのものの副作用とは医学的に区別されている。

AGAを発症している頭皮では、本来なら数年続くはずの毛髪の成長期が数か月から1年程度に短縮され、細く短い毛ばかりが増えている状態となっていることが多い。この乱れたヘアサイクルを正常化させることを目的に治療薬が処方される。

初期脱毛は「健康な毛を生やすために、弱々しい毛が押し出される現象」と表現されることも多い。ヘアサイクルが整ってくる過程で起こる一時的な変化であり、毛の入れ替え作業の過程で一時的に抜け毛が増える現象だとイメージすると、仕組みがわかりやすくなるだろう。

いつから・どれくらい続く?

初期脱毛が始まる時期や続く期間には個人差があるが、一般的には治療を開始してから10日~1か月ほどで抜け毛が増え始め、その後1~3か月ほど続くと考えられている。

抜け毛の程度は、「少し増えたように感じる」という人もいれば、洗髪やヘアセットの際に指にたくさんの毛が絡まる人まで様々で、こちらも個人差が大きい。

初期脱毛と悪化の見分け方

初期脱毛と悪化の見分け方にはいくつかのポイントがある。

初期脱毛の可能性がある場合
  • 抜け毛が細くて短く、成長した毛ではないように見える
  • 頭皮環境が改善されているように感じる
  • ヘアセットがしやすくなったように感じる
AGA症状の悪化の可能性がある場合
  • 成長した割としっかりとした毛が抜け落ちている
  • 頭皮のベタつきや乾燥など、頭皮環境が悪いように感じる
  • 上記はあくまでも一般的な傾向を示したもので、個々の健康状態や体質によって効果や副作用の現れ方は異なります。医学的な判断を確定するものではないため、具体的な症状については決して自己判断せず、必ず医師や薬剤師などの専門家に相談するようにしてください。

初期脱毛と悪化を見分けるのは難しいため、心配な場合は抜け毛の様子を写真に記録し、医師に相談するとよいだろう。

危険サイン:受診の目安

治療開始後の抜け毛症状の中にも、薬に対するアレルギー反応や心疾患など初期脱毛やAGA症状の悪化以外の原因が隠れている場合がある。特に、以下のような症状がみられる場合は「身体からの危険信号」の可能性があるため、速やかに医師の診察を受けてほしい。

  • 全体的に薄くなるのではなく、円形や斑(まだら)状に局所的な脱毛が起きている
  • 頭皮が腫れ、強い痛みやかゆみ・熱感(ほてり)がある
  • 抜け毛症状に加え、ひどい倦怠感や発熱・むくみ・動悸などがある
  • 4か月以上経過しても抜け毛症状が一向に治まらない

他にも、急激な体調変化や強い炎症反応・激しい痛みを伴う場合には、処方を受けた医療機関を受診して医学的な判断を仰いでほしい。

AGA治療の副作用で勃起不全になるって本当?

AGA治療の副作用で、多くの人が不安に感じているのは勃起不全(ED)などの性機能への影響ではないだろうか。男としての自信を失うリスクは避けたいと強く感じている人も少なくないだろう。

ここからは、科学的なデータや薬の体内での作用機序に基づいて、AGA治療薬が性機能に与える影響とそのメカニズムについて分かりやすく解説していく。

勃起不全になるリスクのある薬とは

AGA治療薬の中で、性機能障害を引き起こす可能性があるのは主に「5α還元酵素阻害薬」に分類される薬だ。具体的には、有効成分フィナステリドを含むプロペシア・フィナステリド錠、有効成分デュタステリドを含むザガーロ・デュタステリド錠などが該当する。

分類5α還元酵素阻害薬
有効成分フィナステリドデュタステリド
商品名/薬名プロペシア
フィンペシア
フィナステリド錠 など
ザガーロ
デュタステリド錠 など

これらの薬は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、抜け毛の直接的な原因となる「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変換されるのを防ぐ働きがある。

一方で、DHTは男性の性機能や生殖器の維持にも関わりのあるホルモンであるため、その濃度が低下することで勃起機能の低下や性欲の減退に関与する可能性が指摘されている。

実際、これらの薬の添付文書にも性機能に関する副作用が明記されており、服用の際にはリスクも理解した上での判断が求められる。

一方、ミノキシジルに関しては、内服薬・外用薬ともにホルモンバランスに直接影響することはないと考えられている。血管拡張が主な作用となっており、ミノキシジルそのものは性機能への直接的な影響は主な作用機序として知られていない。

発生頻度はどのくらい?

副作用の具体的な発生頻度については、製薬会社が公表している添付文書や医学的なガイドラインから情報を得ることが正確だ。

フィナステリド

症状頻度
リビドー減退(性欲減退)1~5%未満
勃起機能不全、射精障害、精液量減少1%未満
男性不妊症・精液の質低下(精子濃度減少、無精子症、精子運動性低下、精子形態異常等)頻度不明

デュタステリド

症状頻度
リビドー減退(性欲減退)、勃起機能不全1%以上
射精障害1%未満
精巣痛、精巣腫脹頻度不明

数字として見ると、一定の割合で報告されており、個人差があることがわかるだろう。フィナステリドとデュタステリドを比較すると、リビドー減退・勃起機能不全の発生頻度はデュタステリドのほうが高い傾向にあるとされている。

また、併せて確認しておきたいのが「相対危険度」の考え方である。相対危険度とは、薬を飲んでいないグループと比較して、飲んでいるグループにどれくらいその症状が出やすいかを示す指標だ。

日本皮膚科学会の公表したガイドラインでは、性機能障害の相対危険度が数値で示されている。一部の条件下ではリスクの上昇が示唆されているものの、偽薬を服用したグループでも数%の割合で性機能に関する症状が報告されている。

この結果は、性機能症状の発現が薬の薬理作用だけで説明できるものではなく、心理的要因が影響している可能性を示している。副作用への不安や先入観が症状の自覚に影響を及ぼすことは医学的にも知られており、次項で解説する心理的要因を理解することは、副作用についての理解を深めるうえでも重要なポイントだ。

EDを悪化させる要因

薬を服用中に性機能に関する症状が現れたとしても、それらがすべてAGA治療薬の成分によるものとは限らない。EDは繊細な生理現象であり、以下のような要因が複雑に絡みあって悪化することも多いからだ。

  • 心理的要因
    「副作用でEDになるかもしれない…」という強い不安や先入観が、脳からの性的な指令をブロックしてしまうことがある。こうした悪い結果を予期することで症状が現れる現象は、「ノセボ効果」と呼ばれ、実際の臨床試験でも確認されている。
  • ストレスや睡眠不足
    仕事のプレッシャーや慢性的な疲労・睡眠不足は、自律神経のバランスを乱し、勃起に必要な副交感神経の働きを阻害する可能性がある。
  • 飲酒や喫煙
    過度な飲酒は中枢神経を抑制し、喫煙は血管を収縮させて陰茎への血流を悪化させると考えられている。これらはAGA治療薬の有無に関わらず、EDの直接的な原因となり得る。
  • 加齢による変化
    AGA治療を開始する年齢層は、加齢に伴う男性更年期(LOH症候群)や、血管の老化が進みやすい時期とも重なることが少なくない。加齢による自然な生理現象としてED症状が表れている可能性も考えられる。

不調の原因が「薬の成分」によるものか、それとも「日々のストレスや疲れ・加齢」によるものかを自分一人で見極めるのは難しい。

性機能の低下を感じた場合には、仕事のプレッシャーや睡眠不足が続いていないか、リラックスしている時でも同じ症状が出るかなどを振り返ってみると良い。情報を整理して医師に伝えることで、より正確な診断と、自分に合った適切な対処法が見つかりやすくなるだろう。

EDの原因や改善方法について詳しくはこちら

相談の仕方をおさえておこう

性機能に関する悩みは、たとえ相手が医師であっても「相談しにくい…」と感じる人も少なくないだろう。しかし、AGA治療を扱う現場においては性機能についての悩みや副作用の相談は珍しいことではないため、気負うことなく相談すべきだと言える。

相談する際は以下のリストを参考に、伝えるべき情報を整理しておくことをおすすめする。

  • 気になる症状を具体的に
    性欲が湧かない、行為時に勃起が維持できない、朝立ちの頻度が減った、自慰行為の減少など普段との違いも併せて具体的に伝える
  • 発症時期
    薬を飲み始めてからどれくらいで症状が出たか
  • 併用薬やサプリメントの有無
    AGA治療薬以外に、他の病気で飲んでいる薬や常飲しているサプリメントなどはあるか
  • 生活環境の変化
    仕事や家庭で強いストレスを感じる出来事はなかったか
  • 睡眠時間
    日ごろ、何時から何時まで睡眠をとっているのか。また、夜中に目が覚めることはあるか・目覚めはよいかなど睡眠に関する悩みの有無も含めて伝える

相談は決して恥ずかしいことではなく、より良い治療を続けるために必要なことだと捉えてほしい。患部の発疹や動悸といった全身症状(副作用)が出た時と同じように、医師は必要に応じてED治療薬の処方や、AGA治療薬の減量・変更などを医学的な知見から検討・提案してくれるだろう。適切なアドバイスをもらうことで、毛髪への効果と体調の良さを両立できる治療のバランスを見つけ出してほしい。

性機能に関する副作用の改善については「性欲減退・勃起不全が出たら治る?」でも解説しているので併せて参考にしてほしい。

AGA治療薬によって副作用は異なる?薬別に解説

AGA治療薬について情報収集する際は、頭皮へのメリットだけでなく、全身にどのような影響が出るのかを理解することが大切だ。フィナステリド(プロペシア)、デュタステリド(ザガーロ)、ミノキシジル外用薬、ミノキシジル内服薬の4種類について、薬剤ごとの副作用と注意点を整理する。

副作用の可能性と注意点

スクロールできます
性機能肝機能皮膚循環器妊娠接触注意PSA
フィナステリド×
禁忌
×
影響あり
デュタステリド×
禁忌
×
影響あり
ミノキシジル内服
ミノキシジル外用
※本情報は、一般的な情報提供を目的とするものであり、医学的な診断や特定の効果を保証するものではない。副作用の出方・感じ方には個人差がある。

このように、薬ごとに副作用の出方や注意すべき点が異なる。「△」は体質によって現れる可能性がある症状、「×」は命に関わるリスクや検査への重大な干渉を意味している。

薬の特性を正しく知ることで、小さな体調の変化にもいち早く気づけるようになるだろう。

  • 本情報は、一般的な情報提供を目的とするものであり、医学的な診断や特定の効果を保証するものではありません。副作用の出方・感じ方には個人差があります

フィナステリド

フィナステリドは、商品名「プロペシア」として2005年に日本国内で承認された、日本初のAGA治療内服薬である。前項でも解説したように「5α還元酵素阻害薬」に該当する薬で、DHTの生産を阻害することで、ヘアサイクルを整える効果が期待できる。

主な副作用は、ホルモンバランスの乱れに起因するものだ。男性機能への影響だけでなく、自律神経への影響から抑うつ気分や倦怠感といった症状がみられることもある。また、長期的に服用する場合には肝臓への負担にも注意しなければならない。

主な副作用1~5%未満:リビドー減退(性欲減退)

1%未満:勃起機能不全、射精障害、精液量減少

頻度不明:血管浮腫、男性不妊症、抑うつ症状、めまいなど
注意点【禁忌】
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者への投与

【注意点】
・本剤が粉砕・破損した場合、妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性は取り扱わないこと
・3ヵ月の連日投与により効果が発現する場合もあるが、効果が確認できるまで通常6ヵ月の連日投与が必要である
・本剤投与中の男性型脱毛症患者に対し前立腺癌診断の目的で血清PSA濃度を測定する場合は、2倍した値を目安として評価すること

特筆すべき注意点は、「PSA検査への影響」である。PSA検査とは、前立腺特異抗原検査のことで、前立腺がんを見つけるための血液検査のことだ。フィナステリドを服用していると、本来の値を半分に下げた結果が表示されてしまうため、正しい検査結果を得ることができない。

健康診断や泌尿器科でPSA検査を受けるときは、医師にフィナステリドを服用している旨を必ず伝え、指示を仰ぐようにしてほしい。

  • 一部の臨床ではDHTの生成を抑制する作用が確認されていますが、効果には個人差があります。

デュタステリド

デュタステリドは、商品名「ザガーロ」として2015年に日本国内で承認された、フィナステリドに次ぐ2番目のAGA治療内服薬である。体内に存在する2つの酵素に働きかけ、DHTの生成を抑制する作用がある「5α還元酵素阻害薬」だ。

デュタステリドは阻害する酵素の種類が多いため、フィナステリドよりもホルモンバランスに与える影響が大きく、それに伴い副作用の頻度や禁忌の内容にも違いが生じている。

主な副作用1%以上:リビドー減退(性欲減退)、勃起不全、乳房障害

1%未満:蕁麻疹、浮動性めまい、射精障害、腹部不快感、倦怠感

頻度不明:精巣痛、精巣腫脹、抑うつ気分、味覚異常 等
注意点【禁忌】
・女性、小児、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、重度の肝機能障害のある患者への投与

【注意点】
・本剤は経皮吸収されることから、女性や小児は粉砕・破
損した薬剤に触れないこと。粉砕・破損した薬剤に触れ
た場合には、直ちに石鹸と水で洗うこと。
・本剤投与中の男性型脱毛症患者に対し前立腺癌診断の目的で血清PSA濃度を測定する場合は、2倍した値を目安として評価すること
・投与開始初期に改善が認められる場合もあるが、治療効果を評価するためには、通常6ヵ月間の治療が必要である。

こちらもフィナステリド同様、前立腺がんの指標である「PSA検査」の数値を下げてしまう。検査時には、必ず医師に服用していることを伝えてほしい。

また、副作用の注意範囲がフィナステリドよりも広く、妊娠や授乳の有無にかかわらず、すべての女性および小児の服用・接触が強く禁止されている点にも注意が必要だ。

これは、皮膚からも薬の成分が吸収される可能性があり、男子胎児や男児の生殖器の発達に影響を及ぼす恐れがあるからだ。万が一、家族などが誤って触れてしまった場合には、すぐに石鹸と水で洗い流すことが求められる。

  • 一部の臨床ではDHTの生成を抑制する作用が確認されていますが、効果には個人差があります。


ミノキシジル(外用薬)

ミノキシジル外用薬とは、頭皮に直接塗布して局所的な血流改善作用を促すことを目的に処方される薬だ。

1999年に日本国内で承認された外用発毛剤であり、日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨度Aに位置づけられている。内服薬とは異なり、塗布した部分への影響が主となるため、副作用の出方も頭皮に関するものが多く報告されている。

主な副作用頻度:3,072例中271例(8.82%)378件

そう痒感:123件
発疹:43件
頭部粃糠疹:33件
接触性皮膚炎:32件
紅斑:31件
刺激感:13件
頭痛:10件 等
注意点【禁忌】
・女性(日本人女性での安全性は確認されていない)、未成年者(20歳未満)、本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある人、壮年性脱毛症以外の脱毛症の人、脱毛が急激であったり髪が斑状に抜けている人

【注意点】
・毛髪が成長するには時間がかかります。効果がわかるようになるまで少なくとも4ヵ月間、毎日使用してください。
・効果を維持するには継続して使用することが必要で、使用を中止すると徐々に元に戻ります。本剤は壮年性脱毛症の原因を取り除くものではありません。
・本剤は、血圧・心臓・腎臓に影響を及ぼす可能性が考えられます。

皮膚症状だけでなく、頭皮の血管が拡張することで頭痛や動悸などを感じるケースも報告されている。外用薬であっても、毛穴や毛細血管を通して血液中に薬の成分が吸収されるため、心臓や腎臓に持病がある人は、事前にその旨を医師に正しく伝えるようにしてほしい。

ミノキシジル(内服薬)

ミノキシジルの内服薬は、血管拡張作用により毛包周辺の血流改善を促し、髪が成長しやすい環境を整えることを目的に処方される薬だ。副作用も、血管が広がり血流が変化することに伴う症状が多く報告されている。

主な副作用多毛症、心血管への影響、むくみ、体重増加など
注意点・心膜液貯留や心タンポナーデ・狭心症の悪化リスクがある
・心臓に大きな負担がかかるため、心機能が弱い人は特に厳重な注意が必要

ミノキシジル内服薬は、高血圧患者の治療に用いられる「降圧剤」であり、AGA治療薬としての国内承認は得られていない。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、ミノキシジル内服薬の使用は推奨度D「行うべきではない」と位置づけられている。

中にはミノキシジル内服薬の個人輸入を手配するサイトなどもあるが、医薬品を個人の判断で服用すること・海外から輸入することはリスクの大きい行為であり、安易な気持ちで行うことは推奨されない。

実際、個人輸入した海外製医薬品の服用で健康被害が出たケースも複数報告されており、厚生労働省も注意喚起を促している。

必ず医療機関を受診し、医師の診察を通して医学的に服用の可否を判断・相談するようにしてほしい。

  • 国内未承認の医薬品であるため、服用に関しては必ず医師や薬剤師に相談し、個人輸入や自己判断による使用は避けてください
  • ミノキシジル内服薬は、AGA治療目的での使用が国内で承認されていないため、添付文書などの国内の公的な資料はありません。上記は一般的な薬理知識の紹介であり、海外製の未承認医薬品の服用を推奨するものではありません。

AGA治療で副作用が出たときの対処法

治療中に何かしらの副作用が出た場合、自己判断で様子を見たり減薬などの対応をとるのは思わぬトラブルの原因となることもある。医師への相談を基本とし、注意点や受診までの対処法についての知識をもっておくことが大切だ。

緊急度が高く医師にすぐ相談するべき症状とは

副作用の中でも、一刻も早い対応が求められる「緊急性の高い症状」が出た場合には、直ちに服用を中止し、処方を受けた医療機関を受診してほしい。

緊急性の高い副作用例

  • 強い胸の痛み、締め付けられるような違和感
  • 冷汗を伴う激しい動悸、呼吸困難
  • 全身の激しいむくみ
  • 失神を伴う強いめまい

胸痛や動悸などは、特にミノキシジル服用時に心臓へ過度な負担がかかることで起きやすいと考えられている。また、急激な血圧変化に伴う失神にも注意が必要だ。

早期発見と適切な処置がその後の経過を大きく左右する可能性があるため、ためらわずにすぐ医療機関を受診してほしい。

自己判断で中止・減量しない

体調に異変を感じた際、自己判断で「薬をやめる」「1日おきに飲む」「半分に割って飲む」といった行動をとるのは、思わぬ健康被害の恐れがあるため避けてほしい。

ホルモンバランスや血圧が不安定になることで、また違った副作用が出ることや生えてきた毛が抜け落ちるといった症状につながることも考えられる。

体調に異変を感じたのはいつからなのか、どのような症状がどのくらいの時間続いたのかといった情報を細かくメモし、医師に正しく情報共有して指示を仰いでほしい。

症状別の対応例

副作用が現れた際、医師から提案される対応例を一部紹介する。

症状対応例
性機能障害・服用量の調整
・デュタステリド→フィナステリドへの変更
・ミノキシジル外用への変更
・ED治療薬の処方
皮膚トラブル・抗炎症剤の処方
・アルコールを含まない薬への変更
・使用量の調整
・製剤の濃度低下
動悸・めまい・内服薬の中止
・塗布量やタイミングの調整
・既往歴の確認、血液検査
  • 上記はあくまでも提案されることのある対応の一例です。医師は診察を通して患者さんの状態を確認して医学的な知見から対応策を指導します。個別具体的な判断は、医療機関を受診して指示を仰ぐようにしてください。

副作用を減らすためにクリニックで確認したいこと

思わぬ副作用や健康トラブルのリスクを少しでも減らすためには、定期的な受診を通して医師としっかり意思疎通を図ることが大切だ。

治療開始前はもちろん、3〜6か月に1回の血液検査を行うことで、肝機能に異常が出ていないかを確認することが望ましい。フィナステリドやデュタステリドの内服中は、肝機能数値(AST、ALT、γ-GTP)の定期的なモニタリングが推奨されている。また、服用中に新しいサプリメントを飲み始めた場合や、何か病気の診断を受けた時には、都度その旨を医師と共有することが求められる。

薬をもらう・頭皮の状態を確認してもらうだけでなく、全身の気になる点や最近の変化も正しく伝えることで、リスクの早期発見・適切な対応につなげてほしい。

AGA治療薬の副作用について、不安な点は医師に相談しよう

本記事では、AGA治療薬の副作用について、フィナステリド(プロペシア)、デュタステリド(ザガーロ)、ミノキシジルの薬剤別に、PMDA添付文書および日本皮膚科学会ガイドラインをもとに情報を整理した。

本記事のまとめ

・AGA治療薬の副作用は、薬剤の有効成分ごとに発現する症状や頻度が異なる
・フィナステリド(プロペシア)・デュタステリド(ザガーロ)は性機能障害・肝機能障害のリスクがある
・ミノキシジル外用薬は頭皮の皮膚症状が中心、内服薬は多毛症や循環器症状に注意
・初期脱毛は副作用ではなく、薬理作用に伴う一時的な変化と考えられている
・副作用が出た場合は自己判断で中断せず、医師に相談することが望ましい

EDや性欲減退といった性機能障害や、初期脱毛・心臓への負担など、薬によって発生する可能性のある副作用は様々だ。自分が服用している薬、あるいは処方される可能性のある薬について知識を深めることは、万が一の体調の変化にいち早く気づき、冷静に対処するための力となるだろう。

また、副作用が出た際には、たとえ性機能に関する話題にためらいがあったとしても、医師と正しく情報共有を行い、指示を仰ぐことが大切だ。自己判断で薬を中断したり、悩みを一人で抱え込んだりすることは、治療効果を損なうだけでなく健康上のリスクにもつながりかねない。

医薬品は、医師の診察と判断のもと、定期的な経過観察を行いながら服用・使用することが求められる。副作用への不安も含めて、まずは医療機関を受診し、医学的な知見に基づいた安全性や治療の必要性について詳しく説明を受けてみると良いだろう。

AGA治療の副作用に関するよくある質問

性欲減退・勃起不全が出たら治る?

性欲減退・勃起不全といった症状がAGA治療薬による副作用だった場合、服用の中止や減量によって症状が回復するケースもある。しかし、記事内でもふれたようにED症状の原因は多岐に渡るため、AGA治療薬が直接的な要因ではないケースも考えられる。

自己判断で動くのではなく、症状の詳細を医師に伝えながら解決に向けた提案を受けるようにしてほしい。

ミノキシジル外用で動悸が出たらどうする?

ミノキシジルは、内服薬・外用薬ともに、血管拡張作用による動悸やめまいが起こる可能性がある。副作用を感じたら、屋外での活動は避け、横になるなど安静を保つことを心がけてほしい。特に車の運転や危険な作業などは、意識の消失や判断力の低下による事故を招く恐れがあるため注意が必要だ。

動悸は心臓への負担に伴い起こるサインであり、様子を見ることも減薬も自己判断で行うことは危険だ。速やかに医師の診察を受けて判断を仰いでほしい。

妊活中でも治療できる?

フィナステリドやデュタステリドは、胎児の生殖器の発達に影響を及ぼす恐れがあるため、妊活中の服用には注意が必要だ。服用が精子に与える影響はわずかだとされているが、万が一のことを考え、休薬(一定期間の中止)を推奨する医師も少なくない。

妊活中であることを医師に伝え、将来のわが子への影響を考慮した治療計画を立てることが大切だ。

PSA検査はどうなる?

40代以降に受診機会が増える「PSA検査(前立腺がん検診)」において、フィナステリドとデュタステリドは数値に大きな影響を与える。検査数値が本来の半分程度に低く出てしまい、がんの見落としにつながるリスクがあるのだ。

添付文書によると、服用をやめてからもしばらくはPSA検査への影響は続くことがわかっており、「PSA値は、本剤投与中止後6ヵ月以内に本剤投与開始前の値に戻る」と書かれている。

検査の前だけ服用を中止すればよいだろうという誤った自己判断は、誤診につながる恐れがある。受診時は必ず「AGA治療薬を服用していること」を忘れずに医師に申告してほしい。

個人輸入はなぜ危険?

海外製の医薬品は、日本と異なる法整備のもとで製造・管理されている。日本では禁止されている成分が含まれている恐れや、不純物の混入・成分の不透明さなどが問題となるケースも少なくない。また、万が一重篤な副作用が起きたとしても、国の「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となる点も考慮すべきポイントだ。

記事内で紹介したAGA治療薬は、いずれも国内の医療機関から自由診療の範囲で処方を受けることが可能である。医薬品である以上、医師の管理・指導のもとで服用してほしい。

フィナステリドとデュタステリドでは、どちらの副作用が出やすい?

PMDA添付文書のデータによれば、リビドー減退や勃起機能不全といった性機能障害の発生頻度は、デュタステリド(ザガーロ)のほうが高い傾向にあるとされている。

デュタステリドは5α還元酵素のタイプIとタイプIIの両方を阻害するため、フィナステリド(プロペシア)よりもホルモンバランスへの影響が大きいと考えられている。

ただし、副作用の発現には個人差があるため、薬剤の選択は医師の診察を経て判断することが望ましい。

この記事を書いた人

八丁堀内科・泌尿器科・消化器内科イサナクリニックは、2024年4月より、泌尿器科・消化器内科をはじめ、一般内科や健康診断など幅広い診療に取り組んできました。本コラムでは、日々の診療で得た知見をもとに、近年ニーズが高まっている「オンライン診療」について解説しています。なかでもAGA治療のオンライン診療に焦点を当て、最新動向から基本の理解、クリニック選びで押さえるべきポイントまでを、できるだけ噛み砕いてお伝えします。

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